46 四番人の、密談、世界システムタービンロンド。
二日前・・・。
「雅楽、マクベスがやられたというのは、真なのか?。」
バーバリアンは訝しそうに訊く。
「ああ、死んではいないだろうが、相当追い詰められていたはずだ、流石に神代魔法を使うことだけは
一人の人間を我が物にしようとする事は、人間の基本的な心理なのだろうか・・・。
たった一人の人間に変質的に欲望を擦り付けるのは、人間の基本的な心理ではなく、異常心理だ。
誰が悪いのか???。
悪いのは、他人に自分を見出そうとした彼奴だ。
彼奴は私を自分と重ねてみた。
人なんてのは、一人ひとり全く違うというのに、彼奴は確かに、私の中に自分を見つけた。そして、自分のものにしようとした。
「愚かだろう。」
其れにさえ気が付けないんだ。鈍感もいい処さ。
「バカだね。あれは、愚か其の物だよ。もはや言葉も届かないだろう。」
奴の精神には、他者を支配し、想いどうりに動かす事しかない。
「僕を操って何がしたんだ。」
「世界中が自分の思いどうりにならなければ、止まらないのさ。」
暗黒の物体。
クロノアは、巨大化しか、人間の収まらない欲をエネルギーにして大きくなった、負の塊。忌み嫌われるもの。
「きったないねー。此れがクロノア。醜くてけれど、何処か・・・。悲しそうだ。」
あの、時の事を思い出す。
四人が神代で、見た。人間の本質との闘いを・・・。
欲に塗れた呪との闘いを。
結果、私達は浄化された。
仙人の様に自然と一体化して、何時しか万物の空気を吸っていた。何もかもが、違って見えた。透けて見えた。
「圧倒的、負のエネルギーさえも、自然に還す力。」
此れが、マナフィ。
「負を正に変える、陰を陽に転じさせる。光の魔法 クロノスライト。」
「特定の信念を現実にする、強力神代魔法 具現化。」
「どうして、具現化の能力者がこの世にいるんだ。あれは神の産物の筈ではなかったのか・・・。」
バーバリアンは言った。
「世界システム タービンロンド のバグだろうね。」
レイモンデは言った。
「ああ、そうとしか考えられない。」
世界システム タービンロンド 此の世界のプログラムだ。数学的に円周率が決まっている事、この世界の根本のシステム。其れが世界システム タービンロンド。
「世界システムが狂うことなんてあるのか???。」
バーバリアンは、恐ろし気に云った。
世界システムの全貌は神でさえ、解明中の世界の仕組みそのもの。
高度な数学や物理によって、神々は常日頃から、其の根本原理の解明に勤しんでいる。
「只の地球人が、あの力を持つのは、おかしすぎるのさ。本の何千無量対数分の一の確率だろうね。起こりえる事のない奇跡なのさ。」
そして、何よりも、喜界島の謎の遺言と、其の拾い子の菓子太郎さ。
喜界島 寅次郎においては、人間から神になった唯一の存在。其れがどこぞで拾って我が子の様に育てたという菓子太郎とかいうボーイ。
遺言には、こう書かれていた。
必ずやってくる、ジエンドの夕暮れに、喜界島の光は大きく宙に道を創るだろう。
寅次郎は、そもそも死んだのか?。そして、喜界島の光とは・・・。
「何にしても、あの寅之助の拾った子だ何かしら、重要な要素が或るのには違いないさ。」
しかし、なんであれマクベスと渡り合うくらいの実力を持ったものが此の世界に現れたという事実は大きい。
「マクベスの考えは分からん。奴が命を賭して積み上げてきた、摩訶不思議学校への想いや熱意は何処に行くのか・・・。奴は、新人に潰されて、あの学校の支配権まで、スカイの組織のものに成るという事だぞ。」
マクベスの事だ。何か考えが或るのだろう。
そうして、二日程、何処かに旅に出たり、魔物を飼ったり、反転世界全体を旅して、会議の時を迎えた。
マクベスからの伝言です。佐助は紙を手渡した。
「私は、姿を変えて、新摩訶不思議学校を作る事にしたので在るが、東の国のネール迷宮奥地に研究施設を作る許可を頂きたい。もう既に何人かの有能な魔物や、能力者を集め、地下に軍事都市を築いている。」
三人は、マクベスの行動の速さに驚いた。
「流石はマクベスだ。」
バーバリアンは、テレプシーで、他の二人に伝えた。
そうと決まれば、西の支配は、スカイに任せてもよかろう。
その後、スカイは、西の統治を分担して行うようになった。
摩訶不思議学校跡地には、多くの摩訶不思議学校生徒が居た。
あの後も、旧摩訶不思議学校では、反転世界中から、魔導を学びたいものが集まり、研究し、力を付けて居る。
マクベスが居なくなってから、新任のパレルモや、もともと此処で研究をしていた学者や博士が、教室で授業をしている。
驚いたのは、マクベスの残した偉業の数々であった。其れは、未だ知られていない魔導で溢れていた。
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