17 摩訶不思議学校の校庭で、奇妙なイメージをみる。

 校門を抜けると、其処には、不気味ぶきみ校舎こうしゃと、広い庭がある。


 

 ドレミファソラシドには、景色けしきが或る。


 ドは満月まんげつ


 レはほのお


 ミは大樹たいじゅから差し込むひかり


 ファは薄い大空おおぞら


 ソは深く青い海、


 ラは夕日の太陽、


 シは、ガラスのくつと、雪の降る景色。


 シャープ音やフラット音は又違う景色を見せてくれる、


 満月は氷に変わり、


 炎は、煙に変わる。


 空模様そらもよう雨降あめふりの空に変わり、海の底に沈んでいく、


 太陽はしずみ辺りは暗い夜になる。


 景色には食感があり、触り心地があり、色があり、音が或る。


 其れ等は、時に優しくオレンジ色に包み込む夕焼けの様に、寒く震える白い雪の様に。


 ポツンと、白色の画用紙の中に色のついたインクを落とすその時の純粋な水のような感情は、けがれを知らない子供の様に、映ろう。


 カメラに映る景色が、こんなに綺麗なのは、きっと錯覚さっかくなんかじゃない。


 文字が文字になった瞬間文字しゅんかんは死ぬ。其れは一瞬にして無くなる、只の文字に成る。生きて居ない只の文字。


 一見、生命のない無機物や、情報にさえ、其の色彩は豊かで、情報は青くて白いそして赤色にも、黄色にもなる。


 物理学だって、音楽だって数学だってそうだ、其れ等には、色があり、形があり、音が或る。


 喧しい、人間の生活音には、憎しみしかないが・・・。


 純粋な心を穢すのは、何時だって、人間だ、そして恐怖だ。


 愚かな人間の争いだ。


 この世には死んだ方がいい人間が居る。憎しみのあまり殺して終わなくてはならないとさえ思える人間がいる。


 家族なんてのも其の一つに成りえるし、勿論友達や、恋人だって、自分の夫だって妻だって、裏を返せば、純粋さを失わせるための、有害な物に成りえるのだ。


 如何どうしてそんな事を云うの?。とまゆをしかめながら訊いて來るかも知れない。


 けれど、其れは汚れた人間には分からない事だ。


 汚れた人間は気色の悪い様子で綺麗な精神の共鳴を穢してくる。


 其の汚い感情への対策として、更に汚れた考えで思想で他者を迎える。



 「汚れ切った世界だ。」


 醜い。汚い。


 「奴らが求めているのは、自己利益を増幅させる話だけだ。」


 其れが人間。


 穢れた人間。


 「綺麗な人間程損をするだなんてな。」


 便利なんて言葉は、都合のいい言葉だ。


 何も知らないバカな人間が、自分の都合で、誰かの発明品を使っては便利だ、何だと言って、まるで自分が神様かの様に俄然と利用するのだ。


 そして世の中をめちゃくちゃにする。其れを楽しんでいる。怪物だ。


 「肉を喰らう人間。」


 悪だ。 


 「働いているから、贅沢ぜいたくが出来る。」


 悪だ。


 「御金があれば何をしてもいい。」


 悪だ。


 「金持ちに媚を売る。」


 悪だ。


 「純情な男をたぶらかす。」


 悪だ。


 「弱い女を騙して、犯す。」


 悪だ。


 悪だ。


 そして、悪い奴が勝つのがこの世の中だ。


 厭なものだ。


 途轍とてつもなく其れは、つらい現実だ。


 見て見ぬふりなど出来ないならば、狂うしかないのだろうか。


 怖ろしい、恐ろしい悪だ。


 私の世界は夢物語だ。


 綺麗な色の見える世界は、社会の現実からはれていて其れは空想の芸術。相手にするのは、一部の想像力豊かな本物の人達だけ。


 理不尽な世の中だろ???。


 「他人の言う事なんか、聞かないお前に何が解る???。」


 人間が人間を全て愛するなんて不可能だ。


 絶対に、憎たらしくて殺意さえ沸いてきて、其れはもう、大っ嫌いな処の無い人間なんて居ない。


 如何しても許せない事だって或る。


 其の感情は汚れていく。


 人間以外のものは、綺麗か???。


 分からない。


 綺麗だったものが汚れていく様を何度も目にしてきた。


 其のきっかけは何時だって人間だ。


 人間は自分の大好きを穢し汚す。


 だから私は頑固になった。


 とても頑固な人間だ。


 自分の見て聞いたものを信じた、其の色を匂いを価値観を音を。

  

  

 「夢か・・・。」


 変な夢だった。


 此の学園の校門の抜けた時、脳裏にイメージが流れてきた。


 其れは、まるで世界が共感覚きょうかんかくでつながったような世界の夢だった。


 校庭には、オリーブの樹が何本と建って居て、辺りは暗くてけれど、其のオリーブの樹に取り付けられたライトがイルミネーションと成って辺りを照らし出し、其れは幻想的で綺麗で、けれど、何処か不気味だった。


 「綺麗な、光だ。」 

 カローナはうっとり見惚れていた。


 画レ子は思った。気味の悪い場所だと。


 何処か、何かにずっと監視されているような不気味な目を感じていた。ずっと誰かに見られているような不快感を感じていた。


 「何だか、厭な予感がするよ・・・。」

 菓子太郎はおびえている。


 其れは、まるで、此処へ来たことで何もかもが消えて無くなってしまうかの様な恐ろしさだった。


 「此処は、玄関入り口・・・。」


此の学校に来たことが或るのは、カローナと、バルマだけだ。


 「そうだな。此の学校は気味の悪い学校だ。此れで三度めだが、何度来ても寒気がするぜ。本能的にヤバイ処だって行ってきやがる。」


 ガラスで出来た巨大な三メートル以上の扉を開けると、其処は、まるで宙に道が浮いているかの様な不思議なレインボーの床があって、下駄箱が宙を浮いていた。


 四人は、其の不思議な宇宙空間と、宙に浮くレインボーロードを歩いた。


 「何度来ても、不思議だぜ。まるで宇宙空間だ。どうなってんだか。」


 摩訶不思議学校西校舎。


 どうやら此処は西校舎らしい・・・。


 「其れで、何の調査に来たんですか???。」

 菓子太郎が口を開いた。


 「バール塔とベール要塞攻略会議に出席するのかきくのと、治安と動向チェックだね。」

 カローナは答えた。

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