15 カローナと喜界島寅之助の密会。

 馬鹿なやつたちだ。


 私にだまされて、死ぬのだ。


 あのもの達程度の実力では、ノーマンに今頃喰われている事だろう。


 ククく。


 此れも実験の為だ。


 ノーマンに能力を食わせて、其の能力を他者に移植いしょくする、研究のな。


 はははははは。



 喜界島きかいじまの奴。


 一体何を考えて居やがるんだ。


 摩訶不思議学校まかふしぎがっこうの実験室。


 無数のノーマンが液体カプセルに保管されていた。


 そして無数の能力を人工的に作り出す研究をしていた。


 「一体、何が目的なんだ、寅次郎とらじろう。」


 「さあね、内緒さ。極秘ごくひなのさ。」


 と気味の悪い笑みを浮かべる寅次郎とらじろう





 マリー・クローゼットに出会ったのは、この世界に来て摩訶不思議学校で修行をしていた時の事だった。





 私は、優秀だった。


 私は肉体錬成にくたいれんせいによる、分身体ぶんしんたいの生成の研究に成功していた。


 マリーは其処に目を付け、私に或る提案ていあんをした。


 君、此の学園の五つの柱の一つに成ってみないか。私の代わりに此の実験室も、魔導書まどうしょも明け渡そう。


 其の言葉につられ、私は、彼女と手を組んだ。


 「君の其の、肉体錬成の能力素晴らしいねえ。私の分身を作ってくれないかい?。」


 唐紅からくれない不如帰ほととぎす、クロエ・カタリ、マレール、水月すいげつ色波いろは 。


 そして、私達。此の学校には、五人の強者が居る。


 あれは、丁度、五年前だったか。


 マクベスの人形が来て、此の反転世界の古代文明の技術を教えたのは、彼奴は、もう、この世界の秘密を知っていた。


 いかれた野郎だった。


 そして、実世界にさえ影響を及ぼしていた。


 マクベスの人形の効果だ。


 そして、この地帯に或る遺跡群さえ、発掘解明はっくつかいめいしつくし、遂にあの、明鏡めいきょうを完成させたのだ。


 マクベスは実世界の人間を実験台に利用しようとしている。


 全ての能力を解明するには、標本と成る人間が必要なのだ。


 そして新たな種を覚醒かくせいさせようとしている。


 此れ迄も幾つかの実験に成功している。


 「寅次郎、くれぐれもマクベスには気御付けるんだぞ。」


 寅次郎は、分身体が三体居る、一体は実世界のマリン星に、もう一帯は、反転世界はんてんせかいの調査に、そして、もう一帯が此の摩訶不思議学校実験室に居るのである。


 「分かっているさ。」


 「そうだ。マリン星の僕がこの世界に送り込んだ、僕の息子の菓子太郎は、今頃何処で何をしているかな。此の学校には来られたかなああ。」


 「しらねえな。そんな奴は。」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る