13 ノーマンとの死闘、頑張れベム、されど死す。

 「鬼ちゃん、メロン!。」

 私は、能力を発動した。


 「神速。水月水龍すいげつすいりゅう、全てを滅せよ。」

 バルマは、技を発動する。


 「龍神召喚りゅうじんしょうかん。我に力と、知恵を。」

 ベムは強力な龍を召喚した。


 ガああああああああああああ!!!!。


 ノーマンは叫んだ。


 「ノーマンは、此れ迄戦った能力者の全ての能力が使える。奴の能力は、


他者の能力を喰らう能力。俺らの友人も彼奴に喰われて死んだのが居る。」


 ノーマンは神速で飛んできた。


 見えない。画レ虚には、速すぎて、見えないのだ。


 ドガーン!!!。


 バルマが其の攻撃を受けた。


 爆炎で辺り一面が覆われた。


 何て威力だ。


 水を蒸発させて、バルマさんの水龍剣でも、まったく歯が立たない。


 神速で追いつくのでやっとだ。


 「龍神の召喚に成功しました。」


 デでででででででーん。


 其処には、竜来と、羽の生えた、銀色の竜が居た。


 「何の用だ。」


 ノーマンが空中に凍てつく氷のつぶてを放ち攻撃してきた。


 「うわああああああ。何なんじゃー、また、戦いか。竜使いが荒い。」

 銀色の竜は、急に空から氷のつぶてが飛んできて、驚いている様子であった。



 「力を貸してくれ、銀龍ぎんりゅう。」

 ベムさんは、意を決した様子で、銀龍に向かっていった。


 「汝の力、我の剣と成れ。武装。銀龍一辺 《ぎんりゅういっぺん》鼓動 」

 

 「この技を使っていいのは、本当にヤバイ時だけだ。この技には、其れなりのリスクを伴う。」


 竜の谷で、ドラゴンの族長に教えてもらった、魔獣魔装まじゅうまそう。命を削るちから。


 「天災てんさい。荒れ果てよ。」


 白い閃光が走った。


 神速を越えた。時の無い脚。


 次の瞬間、ノーマンが真っ二つに斬れた。


 「なっ何が起こった。」


 バルマは目を疑った。此れは、余りにも・・・。





 其処には、黒焦げに成って、立ち尽くすベムの姿があった。





 「ベムううううううううう、うああああああああ!!!!。」

 バルマは泣きさけんだ。


 「そ、そんな・・・。ベムさん。」


 画レ虚の目には涙があった。


 使いこなせない、大技を使ったのだ。


 其の代償は・・・。


 「こりゃ・・・。死んじまったかな。ベムよ。」


 銀龍は言った。竜来りゅうこは泣いていた。


 「兎に角、ベムを治療しなけりゃな。」

 バルマは言った。


 手遅れだよ。


 其れくらい分かる。


 此れは、もう死んでる。


 黒焦げで、身体から煙が出ている。


 しかし・・・。ノーマンは未だ動いていた。切り裂かれたはずの体がくっつき始めたのだ。


 「おい!!!。彼奴、未だ生きてるぞ。」

 バルマは叫んだ。



 其の瞬間、死んでいるはずの、


 もうとっくに動けないはずのベムが魔装をして、


 ノーマンに連続攻撃を浴びせる、


 其れは、まるで敵を倒す迄、この身が朽ちようとも、戦うように、プログラムされているかの様に。


 

 「もう、とっくに死んでるはずだぞ。」


 バルマは、涙をぽろぽろ流していた。


 ノーマンの肉体はバラバラにくだり、跡形あとかたも無くなっていた。肉体が熱で蒸発じょうはつして、原型をとどめて居なかった。


 それでも、ベムは、身が潰れる迄、攻撃を辞めなかった。


 もはや、ノーマンは、塵になって、ノーマンと言う情報、存在さえ消えてしまっていた。



 「もう、いいんだ。ベム。」



 バルマは、そういって、暴れるベムに抱き着いた。


 すると、ベムは、くずれて、倒れ込んだ。


 そして、死んだ。


 「俺がもっと強ければ、こんな事には・・・。クッソ――――!!!!。」

 バルマは咆哮して、周りの雑魚のポリゴン兵や殺人マシン共を斬り倒した。



 「俺が、弱いからあああああ。あああああああああ。」



 画レ虚は、ベムさんに初めて会った時の事や、稽古をつけて貰った時の事、クルッススの街でのことなどを走馬灯そうまとうのように思い出して、悲しみと怒りが込み上げてきた。


 けれど、画レ虚にはどうする事も出来なかった。


 親友が死んで、まるで子供の様に、怒り狂って


 前も見なくなって、周囲の魔物を倒し続けるバルマは、何処か、寂しそうだった。


 もっと、強くならなければならない。あの技を完成させるんだ。


 「バルマさん。スペースボールありますか??。」


 「ああ、取り乱してすまなかった。あるぞ。如何するんだ。」


 「修行ですよ。」


 「修行か・・・。そうだな。」


 「行きましょう。」


 「俺たちは、龍の谷にかえるよベムの奴も連れていく。」

 

 竜来は、そらを飛んで消えた。

 

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