12 マリーは百鬼を倒したが、私たちを置いて崖を登って行った、崖のしたで、魔人族のノーマンと遭遇し千載一遇のピンチを迎える。

 マリーは、車を持ってきた。


 「此れは、地面から一メートル程浮いた状態で移動する、


 反重力電動車はんじゅうりょくでんどうしゃだ。此奴で、森を抜けよう。」


 其れに乗って、出発しようとしたその時・・・。


 「まさか・・・こいつは・・・。」

 ベムは絶句した。



 「白鬼びゃっき。」

 バルマは驚いた様子で、絶望の声で口にした。



 其れは、鬼だった。身体の白い。鬼。


 「此奴は、ヤバイ。」


 マリーは、真っ先に白鬼に向かっていった。そして、背中から、太刀を抜いた。


 「電雷砲刀剣 《でんらいほうとうけん》抹殺まっさつ 魔鏡速まきょうそく きり。」


 マリーが消えた。


 鬼はマリーの霧を攻撃するが、当たらない。凄いヒョームのぶつかり合いだ。

 そして、一瞬のうちに事が済んだ。鬼は死んで地に付していた。


 「此れが、元五柱もとごちゅうの実力・・・。」

 バルマは、言葉を失った。


 桁違けたちがいだ。恐らくバルマとベムの二人かかりでも、倒せるかどうか。


 雅楽さんに到底及ばないが、其れでも、恐ろしい強さだった。


 「さっきは舐めた口をきいて悪かった。非礼ひれいを詫びる。」

 あの、意地っ張りのバルマでさえ、感服して、尊敬した。


 「なあに。私は、怒らないさ。改まらないでくれよ。」

 

 

 「此のチームのリーダーって誰なんだ???。」


 マリーは訊いた。


 「そりゃ、ベムだろうよ。」


 とバルマが言った。


 強さと、経験で言ってもマリーがリーダーに適任だろう。


 しかし、


 「うん。やっぱり。ベム君はきっと私なんかよりリーダーに向いてる。私は、自由人だし、適当な奴だからな。五柱の役も面倒臭めんどうくさくてやめたし。」


 「私あくまで、君たちの援護えんごに回るよ。君たちは伸び盛りだからね。」


 マリーは、過去を思い出していた。


 かつての因縁いんねんの地、摩訶不思議学校。


 あの学校で、私は、力を得た。赤の魔導書まどうしょを読み、其の試練をクリアした。


 そして、学校の柱に選ばれた。


 其れにも関わらず、此の私でさえマクベス学長の本当の姿を知らない。


 学校の中じゃ一位、二位を争う実力があった。



 「五柱には、唐紅からくれない 不如帰ほととぎすっていう、火の能力を持った業火の使い手と、クロエ・カタリっていう、悪魔使いと、水月すいげつ 色波いろはっていう波使いと、マレールっていう植物使いと、喜界島 寅次郎っていう、機械人形使いが居るよ。」


 摩訶不思議学校の事は、この世界では、余り公に知られていない。


 五柱の事についても知っているものはごくわずかだ。


 秘密主義の此の学校は、各国が調査としてスパイや忍者を送り込まなければ、知る事さえ出来ない場所なので或る。


 校門前の、崖。


 千メートルを超える崖の前に来た。


 「普通なら、此の車で飛んでくのが手っ取り速いが・・・。お前等は修行もかねて上って来い。」


 マリーは言った。


 「舐めてんのか????。マリー!!!。」


 ベムは怒った。


 「真実さ。お前らは足でまといだ。送るのは此処までだ此処からは自力で登って来い。」


 と言って、マリーは勝手に潜入を開始して終った。


 「彼奴、許さねー。」


 「こんな崖、上るのに三日はかかるぞ。あの野郎。」


 その程度で強くなれれば世話はない。


 強さの次の次元に行くには何か足りないのだ。


 雅楽さんに直接稽古をつけて貰っているってのに、あの女に先を越されている。少なくともマリーは次の次元の強さを知っている・・・。


 そして扉を開いているのだ。そのことは、ベムも、バルマも解っていた。


 強さには、次元じげんが或る。


 次元が上がれば格段に能力が向上する。


 はじめの頃は、画レ虚の様に直ぐに強くなるが、其処から先は中々レベルが上がらないのだ。


 「俺の技には何かが足りない。」


 その時背後に、死の気配がした。


 あいつだ。


 あいつは・・・。


 超第一級魔人ちょうだいいっきゅうまじん


 「ノーマンだ。」


 ノーマン、其れは、此の摩訶不思議地帯に現れる、謎の魔人族まじんぞくの存在。


 強さは未知数。


 戦って勝てるものは、此の反転世界にも十人に満たないという。


 更に分の悪い事に、ポリゴン兵や、殺人に囲まれていた。


 まじかよ。


 如何すんだよ、此れ。


 この状態では、逃げる事さえ出来ないだろう。


 戦うしかない。のだ。


 「行くぞバルマ。」

 ベムは臨戦態勢りんせんたいせいに入った。


 「やるしかないっすよね・・・。」

 バルマはぼやいた。


 「お前は、テレゴンに乗って、あの女を連れてこい。画レ虚・・・。只、俺たちは、められたのかも知れないがな・・・。」

 バルマはいった。


 「危険すぎる、あの女は黒だぞ。あいつが呼んだんだろ、此れだけの魔物。」

 バルマは続けて、恨みたらしくいった。


 「此処に居れば、死ぬだけだ。せめても、画レ虚だけでも、逃がそう。」

 ベムは、提案した。

 


 「俺たちが援護する。」


 私は。仲間を放って自分だけ助かるのが許せなかった。


 「何時まで、保護者面ほごしゃづらするんですか???。ベムさん。わたしだって戦え、ます。必ず勝ちましょう。そして生き残る。」


 其の目は、勝利を信じて、決して諦めては居なかった。


 「ったく。どうなっても知んねーぞ。」

 ベムは呆れている。


 「はい!。」


 画レえれこはにっこり答えた。


 ばか野郎が。こんなときだってのに、戦いを楽しみにしてやがる。

 

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