11 川のほとりの小屋に入ると、マリーという元摩訶不思議学校守護者の女がいた。

 「お邪魔じゃまします、旅の者ですが・・・。」


 扉を開けると、其処には、赤色の髪色に、金槌かなづちを片手に何かを打っている女の子がいた。活発そうな釣り目で、黄色の作業服を着ていた。



 「何だい。こんな処に人かい。私は忙しんだよ。」



 「私達道に迷いまして・・・。」


 「そりゃ、そうだろうね。近頃、地殻変動ちかくへんどうが激しいからねえ。この辺りは。魔法学校に行くんだろ???。」


 「はい。」


 ちょっと待ってな、と言って、女は、奥の部屋に入っていった。


 「私は、


マリー 


此のあたりに住み着いてる鍛冶師かじしだ。こんな水源が出来たのは、三年程前の、大嵐おおあらしのあとだ。あれ以来地面から水が湧き出る様になって、其れが新しい川を創った。」


 「なるほど・・・。」


 どうやら、五年前とは、大きく森の様子も変わってしまったようだ。


 「其れに、森から、弱い動物が消えて、大地に降りる様になった。森の猛獣が進化し始めて、超小型危険猛獣ちょうこがたきけんもうじゅうの数が増えたんだ。現在確認されているだけで、十体は報告されている。」


 其れは、五年前の二倍だった。


「この話を知っているのは、私位だ。長年森にんでいるから分かるのさ。情報網もちゃんとしてるからね。」


 「近々、


バール塔と


ネール地下迷宮の攻略が或るんだってね。其れ私も行こうかと思ってる。お宝目当てにね。」


 此のマリーとかいう、女。其の事迄知っているのか・・・。とベムは思った。



 「あんた、何者だ?。」

ベムは尋ねた。



 「あたしゃ、マリー。



魔法学校の五つの柱



の一つを担っていたが、引退して、森で創作活動をする様になった。ものさ。観た処、あんたらは、雅楽の奴の差し金だろ。」



 なるほど、だから、知っていたのか。ベムは思った。バルマはいぶかしそうに女を見ている。



 「ベムだ。よろしく。」


 「私は画レ虚。」


 「俺は、認めてねーぞ。五つの柱っていえば、最強の五人だ。そのうちの一人がこんな、奴だってか。森で隠遁生活いんとんせいかつだってか。頭おかしんじゃねーのか。」


 マリーは悲しそうにして、認めてくれないんだねと暗い表情をした。


 「ちょっと、バルマ、僕達は、押しかけた身なんだよ。」


 「ごめんねマリーさん。」


 ベムは、頭を下げた。


 「いいわよ。気になんかしてないわ。付いてきて、其処のターバンを付けた男の子・・・。いいものを見せてあげるわ。勿論他の二人もね。」


 そういって、奥の部屋に案内された。


 「わあああ。凄い。」


 其処には、あの、クルッススの街でさえ見た事もないような、防具や、刀、剣、槍、拳銃、ライフル、バズーカー、そして、車の様な乗り物に、コンピュータ、そして、核技術に関する装置まであった。


 「此れは・・・。」


 バルマは言葉を失った。


 「此れで信じて貰えたかな・・・。」


 「あたしは、マリー・クローゼット 今の摩訶不思議学校東の守護者しゅごしゃ 喜界島 寅次郎の前々代の五柱の一つだった女よ。」


 「って事は、おばあちゃん!!!???。」


 「そうなるね。私はもう百二十三歳だからねえ。」


 見た目は、十代の少女だ。神は、腰まで或る。長髪の女。


 「あんたらを見込んで頼みが或るんだが、寅次郎にこれを渡してやってくれんか???。」


 「此れは?。」



 其れは、四角形の白い石であった。



 「此れは、外部の世界と連絡を取るための石さ。持ってんのは、あたしと、喜界島の一族だけさ。」


 怖ろしい技術だと、ベムは震えた。もし仮に外部の実世界の人間に、此のことが公になれば、実世界は此の力を使って戦争を引き起こすだろう。そして・・・。


 「能力者同士しか、会話を出来ないものさ。」


 其れを聴いて安心した。


 「まあ、私も同行しようかね。あんたらを見て居たら、居てもたってもいられなく成って来たよ。」


 マリーは画レ虚が気に入ったみたいで


 「お嬢ちゃんん、かわいいねえ。私の若い頃にそっくりな目をしている。きっと強くなる。」


 と、頭を撫でた。


 「ありがとう、マリーさん。」


 「ちなみに私の能力は予言だ。こうなる事は初めから分かっていた。」

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