7 文殊画レ子は魔法都市クルッススへ向かう道中、ベムに出会い、竜に乗せてもらう、空間製造弾によりつくられた空間の中で、稽古をつけてもらう。

 文殊 画レ虚は、酷く長い、101番道路を西に歩いていた。


 日差しが強く眩暈めまいのしそうなあつさだった、おそらく三十度は越えて居るのだろう。


 そんな、人の居ない、誰も居ない、車さえ通っていない、周りは森で囲まれた道を、歩いていた。


 彼是かれこれ、一週間は歩いていた。


 道中、食べるものを採るにも、森は獰猛どうもう猛獣もうじゅうや、怪物かいぶつ、がおり何も採れなかった。


 幸い、旅立ちの時、地図と一緒に小人族たちにもらった水と、保存食ほぞんしょくがあり其れで命を繋いでいたが、其れももはや、残りわずかとなっていた。


  「もしかして・・・。人間???。」


  右横から声がして、振り向くと其処には、


  「ああ、やっぱりそうだ。僕も人間でね。此処へ来るのは三度目だ。よろしく。」


 その青年は、二十代前半位だろうか、珍しい氷の様に青く、み切った青空の氷の色をした髪色をしていた、驚いた事に地毛らしい。


 目鼻立ちは、穏やかな目つきで、真実を見透かす細い奥二重おくふたえに、筋の通った鼻、顔の形は整っており、唇や、肌の色が何処か青白く、そして、すきとおるような女声だった。頭には赤の漆黒しっこくに近い赤のターバンを巻いており、其処から肩位迄の長さの青い綺麗な髪が伸びていた。


 「どこへ向かっているの?。」


 「ええっと、魔法都市まほうとし クルッススです。」


 「なるほど。」


 「僕の、テレゴンに乗ってくかい???。」


 「何ですか。それ。」


 「テレゴンさ。」


 男は、バッグから、正二十四面体せいにじゅうよんめんたいの緑色に輝く光沢をもった何かを取り出して其れを投げた。


 すると、其処から



 デでででででっでっでバう


 巨大な、りゅうが出てきた。


 「此れがテレゴン。俺の能力は、魔獣まじゅう使役しえき魔獣使まじゅうつかいのベム・オリバーだ、ベムって呼んでくれ。」


 「ひょええええ。文殊 画レ虚です。はじめまして、よろしく。」


 テレゴン其れは、まるで神話や御伽噺おとぎばなしで伝え聞く龍、其のものだった。


 「綺麗な毛並みね。」


 テレゴンは、龍だが、親しみやすく愛らしい大きな目をしていた。緑色の毛に、長い髭が、うにょうにょ動いている。


 「それで、如何する乗ってくかい???。」


 ベムは、バックから、巨大な籠を取り出した。


 まるで此のバッグは四次元に繋がっているかの様だった。


 その後、ベグは其のかごひもを付け、其れを龍に持たせた。


 「此れに乗っていくのさ。どうだい・・・・?。」


 色々な事がいっぺんに起こり過ぎて、画レ虚は混乱こんらんしていた。


 「あ、はい。喜んで。良ければご一緒させていただきます。」

 

 テレゴンに引っ張られながら、其れを飛んでいた。


 「其れで、君は、何が目的で此の世界に来たんだい。」


 ベムは、無遠慮ぶえんりょいた。


 「えっと、私、能力があって、最近此の世界の事を知って、其れで興味があったんです。此の力って一体、何なんだろうって。」




 「なるほどね。此の世界に来られるものは、特異とくいなエネルギーを持ったものだけだ。其れを、



 フョームと言うが、



 フョームを持ち、或る程度使いこなせなければ、此の世界へは来られない。」




 その後、彼の話によれば。




 此の世界は反転世界はんてんせかいと言い、実世界じっせかいとは反対側に或る、見えない世界らしい。




 「かつて、四人のノルドがいた。ノルドッてのは、認知能力にんちのうりょくが人間以上の生命のことだ。其の、四人のマクベス、バーバリアン、雅楽がらく、レィモンデが、この世界は最初に見つけた、そして、東西南北に都市をつくった。西のマクベス、東の雅楽、北のレイモンデ、南のバーバリアンだ。」



「しかし、この世界の事の真実は分からない。此れは、僕が雅楽さんから聞いた話だ。雅楽さんは、三百年以上生きている。もはやそれは、三百年以上前の話。其れに、初めから、森の猛獣もうじゅうや、東にある地下迷宮ちかめいきゅうや、天空塔てんくうとうはあったのだ。未だに誰一人攻略出来て居ない。あの雅楽さんでさえ、攻略の最前線さいぜんせんで未だに戦い続けているくらいだ。」


 「魔法学校は人智じんちえた学校で、マクベスにより完成された究極の七つの力により、西の摩訶不思議地帯を完全に攻略したのだ。マクベスは異常だ、彼奴は四人の中で一番強くてヤバイ。」


 「どうして、四人で協力して、迷宮や塔を攻略しないのさ?」


 「其れは、試練が余りにも過酷かこくだからだ。マクベスも他の三人も力を付けていたんだ。最近また、動きが在って、四人が集まって攻略に行くといってゐた。其の事の調査もあって、俺は、雅楽さんに頼まれて、摩訶不思議学校の調査に出向いてるってわけさ。」


 「お前さんも摩訶不思議学校に行くんだろ???。此処へ来る奴は、死にたがりばっかりだ。はじめは誰もがあの地帯に入りたがる、そして絶望して死ぬ奴が九割だ。」


 「あの地帯は、いかれた程に強いフォームエナジーの場が出来てる、波の人間なら、入った瞬間しゅんかん動けなくなり、エネルギーを持ってかれて死ぬ。謎のポリゴンロボットの兵団や、猛獣もうじゅう怪物かいぶつ魔獣まじゅうがうじょうじょしてやがる。学校にたどり着くだけでも奇跡の確率だ。俺も三度挑戦してる、そしてクリアした。はじめは弱かったが雅楽さんにきたえて貰って強くなった。御前もあそこへ行く予定が或るのなら、稽古けいこをつけてやる。」


 「僕、強くなりたいです。」


 「分かった。」




 ベムは、空中に小さな球体を投げた。すると其処には、木の家と、少しの森と川、崖、海の或る、壁の白い空間に出てきた。




 「此れは、一体?。」




 「此れは、スペースボール、迷宮で取れる、ガッテ石から創られた、空間製造弾くうかんせいぞうだんさ。ガッテ石は空間を伸ばした縮めたりする作用の或る石で、天才発明家 雨之降あめのふる 志郎しろうが発明した、全く別の空間を作り出す玉さ。持って二週間って処か。二週間は此の空間で暮らせる、其の間外の空間ではたったの一時間だ。」



 「実は、此のボール、使いすぎると、死んじまう。いわばフョームエナジーの無い奴は、使った瞬間死ぬ。此れから二週間死ぬ程稽古をつける。耐えられれバ合格だ。」

 

 

 「まずは画レ虚の能力を見せて貰おう。何かしてみろ。」


 私は、気が進まなかったが、友達の 鬼ヶ島 鬼 と新宿メロンを具現化する事にした。


 「ねえ、力を貸して、ミーニャ。」


 「久しぶりだね、画レ虚。」


 「出て来て、鬼ちゃん メロン!!!。」


 まさか、此奴、具現化能力か。しかも・・・。此れは・・・。


 「やあ!。久しぶりだね。」


 眠そうに眼をこする、角の生えた、赤紫色の肌をした、鬼、腰には刀をぶら下げて居る。目鼻立ちの整った、イケメンの鬼だ。


 「メロンは、岩人間を見つけたのだー、凄いだろー、鬼ちゃーん!!!。」


 小さな、未だ三歳くらいの容姿の可愛い人形の様な女の子。新宿メロンだ。


 こいつは期待できそうだ。イメージを具現化する能力。こんな奴見た事ねーぞ。

 

 特訓とっくん 基礎体力きそたいりょく作り。


 其れから、私達は、森を走り、海を泳ぎ、崖を上った。そんな事を丸一週間続けていた。


 「こんな事で強くなれるのかな・・・。」


 「十分、体力はついたようだな。此れから、能力の使い方を教える。」

  

 「出てこい!!!。竜来」


 ででででででででD、ばばばっば、ばばんん。


 其処には、人型の竜がいた。


 「此奴は、竜人族りゅうじんぞく竜来りゅうこ。竜の谷で知り合ってからこの方、ずっと一緒に旅をしてきた。」


 「一体何の用だ。バトルか。バトルか。たぎるのおおお。」


 「違う。今回は、此奴らに稽古をつけるんだ。」


 「ほう。なる程。では参る。」

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