トヨタ・ヴィッツ(3代目初期型)

 私にとってこのクルマは特別な一台。初めてのマイカー、初めての相棒なのです。故に補正が掛かって必要以上に良く感じているかもしれませんので、その点はご承知を。


 さて、まずは基本的なスペックから。ヴィッツには1.0L、1.3L、1.5Lと排気量としては3つのバリエーションがありますが、今回書くのは1.3L車(Fスマイルエディション)です。


パワートレイン:1.3L、直4NA

馬力・トルク:95ps(70kW)/6000rpm、12.3kg・m(121N・m)/4000rpm

駆動方式:FF

トランスミッション:CVT

サイズ・重量:3885×1695×1500mm、990kg

最小回転半径:4.5m

燃費:20.6km/L(JC08モード)


 個人的に実は、「ヴィッツ」というクルマには何だか縁を感じておりまして。物心つく前にミニカーを買って貰って以来のクルマ好きらしいのですが(母親談)、それ以降ミニカー遊びが本当に好きで。そして中でもお気に入りのだったのが、ピンクのヴィッツ(初代)のトミカ。私自身はうっすらとしか覚えていないのだけれど、片手に必ずヴィッツのミニカーを持っていたのだそうです。それから20年弱。初めて自分の名前が車検証に載ることになった車両は、3代目のヴィッツでした。初めて「お気に入り」になったのがヴィッツのミニカーで、初めての「相棒」もまたヴィッツ。何だか、このクルマに乗る運命だったのかなぁ、なんて思ってしまいます。


 さてさて脱線はこの位にしておいて、このクルマについて感じたことを。


 まず、走りについて。何となくですが、ヴィッツはスイフトやアクアと比べて、ちょっと腰高な感じがします。ハンドルから伝わってくる情報量は多くはなく、何だかフワフワしてる感じが無くはない。ただ、それで怖さを感じるようなことは今までになく、高速域でも峠道でもしっかり走ってくれて、私は安心して乗れるクルマだと感じています。逆に、足回りが柔らかめなので、街乗りではむしろ楽にクルクル走ってくれる感じがして、扱いやすくて気に入っていますね。エンジンはスイフトに比べてトルク感があるし、恐らくCVTが良いのだと思いますがヴィッツは変速ショックも無く滑らかに加速してくれます。大人4人乗車時はさすがにパワー不足感というか、「重さ」を感じますが、2人までなら十分すぎるほどのパワーを持っています。普通に乗っているなら、パワー不足を感じる場面は恐らく無いのではないでしょうか。さらに嬉しいのは、ギアが「S」「B」まであって、エンブレの強さを2段階変えられる点。結構山がちな地形の道を乗る私にとっては、エンブレを細かく制御出来るのはありがたいですね(シエンタも同じだった)。全くクセのない乗り味で、日常生活の足として、どんな方でも抵抗なく乗れる車種じゃないかな、と思います。若干ピラーの位置に慣れるのに時間が掛かりましたが、慣れてしまえば死角も少なく運転しやすいクルマです。また、あまり取り上げられない部分だと思うのですが、ヴィッツは左右のミラーが若干後ろに取り付けられていて、これが斜め前の視界の良さを生み出しています。ミラーがこの位置にあることで、がかなり少なくなって、右左折の時の視界の良さを生んでいます(もしくは、単に三角窓の位置が良いのかもしれません)。地味なポイントかもしれませんが、個人的には「良いね!」と思うところです。それから、これはスイフトと比べてになりますが、一回りハンドルが小さい様な気がします。だから何、ということはありませんが、人それぞれ好みはあると思いますので、気になる方はハンドルの大きさもチェックしてみても良いかなと思います(個人的には小さめの方が好き)。

 静粛性も、フロントシートはこのクラスにしては高めかな、と思います。もしくはエンジン音自体がかなり静かなのかもしれませんが、エンジンからのノイズがあまり入ってこない感じがします。流石に高速道路の合流などで高回転まで回すと(メーターに回転計がついていないので具体的な回転数はよく分かりませんが)少し苦しそうな音が聞こえては来ますが、それでもこのクラスとしては十分すぎるレベルだと思います。

 燃費に関しては、このクラスの他の車種がどんなものなのか分かりませんので比較が出来ませんが、市街地で10~12km/L、巡航出来れば13~17km/L、高速を使って遠出した際には19.5km/Lくらいまで出ます(夏タイヤ装着時、スタッドレスタイヤだと1~2km/L落ちるイメージ)。私の使い方だと、コンスタントに17km/L を記録しており、なかなか優秀だと思います。

 取り回し性能は一般的なコンパクトカーと変わらないのかなと思いますが、ボディの見切りも良く運転はしやすいと思います。細道での行き違いや狭い駐車場での車庫入れなどでも、特に苦労することはありませんね。


 インテリアに関しては、「コストダウンの痕が~」とよく言われますが、個人的には全く気になりません。強いて言えば、ちょっとインパネ周りの収納が少ないことと、シートベルトを上下させられないことくらいでしょうか(個人的には気にならない部分ですが)。テレスコピック機構とかシートの上下調整機構はもちろん付いていますので、運転姿勢がしっくりこない、ということもあまり無いのではないでしょうか。シートも思いの外しっかりしていてホールド感があるのも気に入っていますし、エアコンなどの操作性も高いのではないかなと思います。まあ、グレードがFスマイルエディションという特別仕様車で、オートエアコンがあったりハンドル回りにメッキ装飾があって少し豪華に見えるというのもあるかもしれません。

 リアシートはよく狭いと言われますが、十分なスペースがあると思います。フィットとかノートよりは狭いのかなと思いますが、少なくともスイフトあたりと比べると大分広いな、という感じがします。足元は十分すぎる位の広さがあり、窮屈な感じはあまりありません。私が座るとちょっと頭上スペースが足りず背筋を伸ばすと頭が天井にぶつかってしまうのですが、コンパクトカーだとこんなものだと思います(補足ですが、私の背丈は170cm台後半です)。荷室も思いの外広く、積載性に不満を感じる場面はほとんど無いと思います。少なくとも、パーソナルユースでは困りませんし、引越しに際してあれやこれやと荷物を積んで走りましたが、その際にも困ることはありませんでした。自転車とかはさすがに難しいでしょうが(無理すればママチャリはいけた)、このサイズの車を検討する方の使い方であれば、荷室の広さで困ることはほぼ無いのではないでしょうか。


 3代目のヴィッツは燃費や走行性能など、何かにもの凄く長けているというクルマでは無いかなと思います。しかし、日常生活を支えてくれる存在としては、ヴィッツのポテンシャルはかなり高い。全体の総合力が高く、噛めば噛むほど旨さが出てくるというか、その良さが分かってくるというか、そんなクルマではないでしょうか。何かに特別長けている訳ではないけれど、どこをとっても合格点を与えられる、乗っていて大きな不満が出てこないクルマだと感じています。


 右リアに修復歴ありの中古車でしたが、ここまで全くトラブルも無く走ってくれていますし、その予兆も感じません(この辺は当たりの個体だったのだと思います)。気兼ねなく一緒に走れる「相棒」として、どこまでも走って行きたいと思っています。


※なお、この3代目ヴィッツというクルマはマイナーチェンジの際に1.3Lエンジンが新型に切り替わっていて、若干ですがスペックも異なっていますし恐らくはフィーリングも別ものだと思います。今回は前期型ですので、3代目の中期型・後期型とは異なる点もあるかもしれません。

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クルマ好き素人がクルマについて考えてみる RURI @RURI-chrysipteracyanea

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