第14話 もしもーし?

 おーけー。ちょっと整理しよう。あまりにも突然のことに少し思考が長くなってしまうかもしれないな。


【リア先生は百合ではなく、俺のことを好きと言った】


 おや? すぐに整理できたぞ? ……じゃなくて!


「リア先生? あの──」

『はい。空園先生の事が好きって言いました!』


 おっと。食い気味に言われたぞ。


「もしかして──」

『小さい頃に会ったことあるとかではないですよ』

「おおぅ……」


 なんで俺が言おうとしてた事がわかるんだ。


『実は母校が同じとか本屋で手が触れたとかナンパから助けてもらったとか前世から知ってるとか親同士が実は知り合いとか昔隣のマンションに住んでたとかよく行くコンビニで男だと思われてたけど実は女の子だったとかでもないです』

「なん……だと……」


 そうだとしたら好かれる理由が何一つ思いつかない。いや、そうじゃなくても思いつかないんだけども。

 だってまだ会ったばかりだぞ? 確かに一緒に飯食ったり街中で声をかけてもらったり部屋にも行ったりはしたけど……。


『空園先生? もしもーし?』

「あ、はい」

『もしかして好かれる理由が無いとか考えてませんでした?』

「あはは。そんなことは」


 がっつり考えてました。だってわからないんだもの。


『考えなくても大丈夫ですよ? だって……』

「だって?」

『一目惚れなんですから! ドカーン!』

「いや、戦隊モノみたいな効果音を口で言われても……って、一目惚れ!?」

『はい。紛うことなき一目惚れです。空園先生の作品のイラストを担当するのが決まったあとに所用で編集部に行ったんですけど、そこで初めて見かけて恋に落ちました。即堕ちです』

「即堕ち言わないの」

『どこかの海賊みたいに心臓だけ奪われてしまったような感覚でした』

「それはなんか違うんじゃ……」

『つまりワタシはチョロインです』

「自分で言っちゃった!?」

『えへへー』


 なんで告白された後にこんなにツッコまなきゃいけないんだろうか。とりあえず一回落ち着いてもらってちゃんと話を聞かないとだな。ぶっちゃけめちゃくちゃ嬉しいけども。


「リア先生? あのですね──」

『と、という訳ですので、後日正式にちゃんと会った時に告白します。なのでそれまでに少しでも考えてくれたら嬉しいです。ちなみにワタシ自分の事をスタイル良さげな金髪美少女だって少しは自覚してて何気にちょっとは自信あったりするので、寒いけど胸元開いた服着ていきますからお楽しみに! それではっ!』

「はい!? あ、ちょっ……切れたし。つーかマジで? あの天使なリア先生が俺の事を好きとかありえるのか? ……いや、ありえるのか。告白されたんだもんな。しかも今度は正式に告白とかって……え? これどうすればいいんだ?」


 今までの人生で告白が成功したことなんてなく、ましてや告白なんてされたことなんて無い。

 それに俺は今、悠華先輩の事を想ってる。だけど上手くいくとは限らない。ならもうこのままリア先生と付き合った方が……なんてことも考えてしまう。

 でも……でもなぁ……。


 と、そんなことを考えていたらいつの間にか朝。とは言ってもずっと起きていたわけではなく、ちゃんと目覚ましアラームで目が覚めた。バッチリ快眠。


「……そうだった。俺は恋に悩んで眠れなくなるような繊細な心はもってないんだった」











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

リアルのラブコメに困惑中ですが、これってノンフィクションらしいです〜片思いの先輩と男だと思ってた美少女イラストレーターが俺の両隣から離れない〜 あゆう @kujiayuu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ