第7話 かもね?
俺はすぐに返事を返す。
『なにしてんですか。可愛すぎじゃないですか。悶え死させる気ですか?』
それだけ送るとすぐにさっきの画像を本体に保存。クラウドに保存。SDカードに保存。念の為パソコンの方にも送っておいた。よし、これでおけ。これだけ色んな所に保存しておけば無くなることは無いだろうと満足していると、ちょうどそこで先輩からの着信。…………着信!?
『はい。もしもし?』
『こーら! そんな可愛い可愛い言わないの! まったく君は昔からホントに……。そんなこと言うと……調子に乗っちゃうぞ? なーんて♪ てゆーか被り物なんて遊園地に行った時以来かも。懐かしいなぁ。去年のクリスマスに彼氏いない同盟で行ったんだよね……』
な、なんて切ないことしているんだこの人は。俺に声をかけてくれればすぐにでも親父から車を借りて駆け付けたのに!
……ん? 待てよ? 今この話題を出したと言うことは、もしかして誘ったら一緒に行ってくれるかも?
よし、ダメ元だ!
『先輩……そんな悲しい事言わないで下さいよ。僕なんか去年のクリスマスはソシャゲのイベント周回ですよ? しかも締切に追われながらですよ?』
『うわぁ、それは……キツいね』
『はいそこキツいとか言わない』
『あはは! ゴメンゴメン!』
『まったく……それでですね? 先輩、今年のクリスマスは僕と一緒に行ってみるっていうのはどうですか?』
〖…………〗
くっ! 沈黙が辛い! これは無理か? 無理なのか!?
無理なら早く言ってくれぇ! ……ってダメだ。もう耐えられん。ここはもう「なーんて冗談ですよ〜HAHAHA」って言ってしまおう。
『な、なーん──』
『それもさ、アリ、かもね?』
え? なんて? 今なんて?
『はい?』
『えー? 聞いてなかったのー? 一緒に行くのも良いかもねって言ったの! 君から誘っておいてそれはないんじゃないかな? なに? それとも冗談でしたーとかって言うつもりなのかな?』
『い、いやいやいや! そ、そんな訳ないジャマイカ! 行きます行きます! 行きますとも!』
うそじゃろ? マジで行ってくれるの? ヤバい。テンション上がってきたぁぁぁあ!
『ふふん♪ 素直でよろしい。って言っても私まだ休みかどうかわかんないんだけどね』
『あー、ですよね。僕は休みですけど』
『ズルい』
『いや、ズルいって言われても』
『むぅ! じゃあとりあえず休みがわかったらまた連絡するね?』
『待ってます。むしろ休んで下さい』
『こーら、無茶言わないの! じゃ、またね』
『はい、おやすみなさい』
『おやすみ〜ん』
そしてそこで通話が切れた。
「…………やっべ。髪切りに行かないと。あと服と鞄も。それにクリスマスプレゼントもだな。その為には……」
俺はすぐに隆平に電話をかける。
『なんだよ』
『助けて恋愛マスター』
『切るぞ』
『あぁっ! ひどいっ!』
そう。恋愛成功者である妻帯者に相談するのだ。
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