To Next

世界ジュニアフィギュアスケート選手権、女子表彰式。


優勝者はスポットライトに照らされて、惜しみない拍手を送られ、手を振りながら表彰台へ上がる。


今年の優勝者はアメリカのレイラント・ロジャー、14歳。

明るい笑顔を最大限に振りまきながら、表彰台の頂上で手を振っていた。


そして2位の選手がコールされる。


「ヒジリコ・ミヤギ!ジャパン!!」


眩しいスポットライトに照らされた屈託の無い笑顔を観客に向ける姿は誰が見ても美しく、大きな歓声を浴びた。


日本人としては山下めぐり以来二年ぶりのメダルを獲得した。


「おめでとう、めっちゃ綺麗」


そう言いながら私物のカメラで聖子の写真を撮るのは、4位となった松坂朝陽。

ベラルーシに来てこの二人は仲良くなった。


「ね、朝陽ちゃん!私達で三枠取れたよ!」

「…うん、来年頑張ってもらわなな」


表彰式も終わって裏へ歩きながら二人でそう話していた。



その後始まったのは男子の表彰式。


優勝したのはアメリカのギルバート・ファーマー。

ジュラシックパークのテーマ曲と共に表彰台の中央に立つ。

今年は男女共にアメリカの優勝だ。


そして2位は最終滑走に追い抜かれるまでずっとトップをキープしていた高村柚樹。


2位に決まった瞬間、多少悔しくは思いつつも正確なエレメントと共に大きく観客を盛り上げたギルバートの優勝に納得していた。

こちらも男女共に日本人だ。


今大会補欠で出た進藤楓吹は裏側のモニターから笑顔で表彰式を見ている。


楓吹はベラルーシに来た当初はミスをしたらショート落ちかもしれないと怯えていたが。

実際ショートで課題のトリプルルッツを転倒し、青ざめていたが他は正確に決めたおかげで15位に留まっていた。

その後柚樹に励まされ結果は10位となった。よって男子も翌年の出場枠が三枠だ。



ベラルーシから帰国後、柚樹と聖子は開口一番翌年からシニアに行くと言っていた。


全員が常に高みを、次のステージを目指していく。




「あーあ、もう本格的にシーズン終わっちゃう」

「本当の終わりは六月末だけどね」

「知ってるよ。七月からついにジュニアかぁ...」


怖いなぁ...とリリィは呟きつつ、でも楽しみでもあった。


今年も今年でまた苦しむのだろう。


でもそれを乗り越えられるだけの力はこの一年で付いた気がした。




~FIRST SEASON END~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る