国王陛下 ②初めまして

遂にこの日が来てしまった。今日は国王様との謁見の日だ。朝から公式の場で着るかっちりとした服を着せられた。


「ルーク、用意はいいですか?」


今日はアンジェ姉様以外はみんな先に王宮に行ったので、アンジェ姉様と一緒だ。馬車に乗って王宮に向かう。


「国王陛下は優しい方なんですよ。今日のことも楽しみにしていたようですし、気を楽にしてくださいね。」


王宮に向かう途中、アンジェ姉様にそう言われたけど国王様相手に緊張しないとか無理なのでもう諦めた。






王宮は見るからに豪華だった。門の所で馬車を降り、迎えに来てくれていた人に案内された。連れて行かれたのは所謂『謁見の間』というところで中に入ると国王様らしき人と王妃様らしき人、それから家族がいた。


「本日はお招き頂きありがとうございます。非公式の場ですので挨拶は省略させていただきますね。」


アンジェ姉様がそう言うと、国王様らしき人は途端にどんよりとした空気を纏い、


「その子にもしてもらいたかったんだがなぁ。ダメだろうか?」


と言いながら僕のほうを見てくる。でも僕、挨拶とかしらない。お父様達からまだ覚えなくていいと言われたのだ。


「ルーク、自己紹介だけお願いできるかい?名乗るだけでも構わないよ。」


お父様にも言われて、名乗るだけでいいなら断る理由も無く…………


「ル、ルクライア・リーガルトです。よろしくおねがいします。」


大人しく挨拶をした。お辞儀をして顔を上げるとお父様達が近づいてきて僕の頭を代わる代わる撫でてくれた。


「ちゃんと挨拶できたね。偉い偉い。」


「ここまでよく来たな。馬車ん中暇だったろ。」


「朝ぶりですね。洋服、似合ってますよ。」


「あいつの我儘を聞いてくれてありがとう。」


「一先ず、もう少し陛下の近くに寄りましょうか。」


お母様に促されて、みんなで国王様らしき人の周りに近づく。


「俺はレインハルト。知っていると思うが君の父親の弟で、この国の国王だ。挨拶ありがとうな。事情は兄上から聞いているから自分の家と同じくらい、楽にしてくれ。」


「私はリリシアです。挨拶可愛かったですわ。私は王妃ですの。よろしくお願いしますね。」


「ありがとうございます。国王様。王妃様。」


気遣いに感謝しながら礼を告げると、怪訝そうな顔をされた。首を傾げると不服を告げられる。


「呼び方が堅くないか?親戚になる訳だから、もっと崩した呼び方をしてくれていいんだぞ?」


「そうですわ。クリスからは愛称で呼び合ってると聞きましたのに、、、私達のことは愛称で呼んでくださらないの?」


国王様と王妃様にそんな事言われてもハードルが高いと思います。この国の人達はフレンドリーが過ぎる。とはいえ、諦めてくれる気も無さそうだ。


「えーっと、レイさま、リリーさま?」


僕が素直に呼ぶと、二人は一瞬瞠目してから嬉しそうに破顔した。


「ありがとうございます。嬉しいですわ。」


「そうだな。結構心にくる。嬉しいぞ!さて、立ちっぱなしも何だし、応接室のほうに行かないか?」


レイ様のその言葉をきっかけに、みんなで部屋を移動する。

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