国王陛下 ①謁見

「ルーク、少しいいかい?」


書庫で本を読んでいた僕は声をかけられた。顔を上げると窺うようにこちらを見るお父様がいた。僕が頷くと頭を撫でながら近くにある椅子に連れて行ってくれた。僕は一人で本を読む時は机を使わない。一冊でも多くの本を読みたいし、わざわざ机に向かう時間が惜しいからだ。


「おとうさま?」


「ああ、突然すまないね。実はルークに会って欲しい人がいるんだ。」


「あってほしいひと、ですか?」


「そう。この国の王族なんだけれど、、そろそろ人慣れしてきた頃だろうしどうだろうか?」


「おうぞく、、」


偉い人は苦手だ。お父様達は『助けられた』というのもあり、怖くなかったのだけれど。偉い人の前だと萎縮してしまって上手く話せない。


「そこまで畏まらなくてもいいよ。現国王は私の弟だからね。」


「おとうと??」


普通、長男が国王となる筈だ。そうでなくとも王族側が婿入りすることは滅多にない。


「王位継承権で揉め事が起きてね。私は継ぐ気などなかったし、裏方でのサポートにも丁度良かったから婿入りという形をとらせてもらったんだよ。クリスのことは愛していたし、公爵家も認めてくれた。とはいえ、揉め事を起こしたのは力の弱い下級貴族ばかりだったから当の本人である私たちの仲は現在も良好だよ。今は側近としてサポートしてる。あいつはおおらかな性格だし、気楽にいればいい。少し、考えておいてくれるかい?」


「はい。」


僕が頷くとお父様は安心したように息を吐き、立ち上がった。もう書庫を出るのかと思ったら手を引かれた。


「??」


不思議に思いながらも首を傾げると諭すような表情をされる。


「最近、お昼ご飯ちゃんと食べてないだろう?」


「・・・・おなか、すいてないので」


「例え空いていなくても、少しは食べないといけないよ。ルークの身体は健康とは言い難い状態なのだから。」


そのまま手を引かれて食堂へと連れていかれる。

僕はお昼ご飯を食べることが少ない。午前中は本を読んでいることが多いから忘れることが多いのだ。今日みたいにお腹が減ってなくて食べないこともあるけど。朝と夜は家族の誰かと食べるから大丈夫なのだけれど、昼は一人だから余計に食べない。料理人さん達あたりからお父様に伝わったのだろうか。お父様に言われては拒否することもできず、大人しくお昼ご飯を食べることにした。

そして、お昼ご飯を食べ終わった後はゼリー一つでもいいから、一日三食を改めて約束させられた。

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