ヴィー兄様と…… ②監査役の人
客室に入ると、女の人と男の人がいた。二人ともピシッとした服を着ていて、少し威圧感がある。
「おはようございます。私は監査役のエマリアです。」
「同じく監査役のレオナルドだ。」
「おはようございます。リーガルト家長男のヴィンセントです。この子が三男のルクライアです。」
自己紹介をして、机を挟んで対面する形でソファに座る。距離が近くなってしまい、少し緊張する。
「今日はルクライアくんにノマライト・ヤーグスについて聞きたくて来ました。彼が誰か分かりますか?」
「僕の、前の、主、様。」
「主?そう呼んでいたのですか?」
僕が頷くと2人とも驚いたような顔をする。
「まあ、いいです。今はそこは重要ではないので。一先ず、彼が何をしていたか知っていたら話して欲しいのです。君が分かる範囲でいいので。」
あの人がやっていたこと、、色々あった気がする。全部言えばいいかな。
「人体実験、、人身売買、、横領、、暗殺、、?」
「えっ!そんなに?それは確かなんですか?」
頷くと、エマリアさんは固まって動かなくなった。代わりにレオナルドさんが話しだす。
「人体実験の証拠は?」
「しょう、こ?」
言葉の意味が分からなくてヴィー兄様のほうを向くと、優しくこたえてくれる。
「証明できるもの。うーんと、根拠、かな?」
「根拠……僕が、受け、てた。証拠、なる?」
「ルーク、人体実験受けてたの?内容とかは?」
「種族、の、混合?って、言ってた。僕も、注射、打たれた、から、獣人、なれる。」
言いながら体内の魔力を動かし、力を解放する。僕の身体に狐の耳としっぽが生えた。
「それは、狐だよな?」
「普通、の、違う。妖狐?九尾?言われた。」
僕のこたえにその場にいた全員が固まる。駄目なことだったのかな。大丈夫だろうか。
「はっ!すまない。まさか妖魔族とは思わなかった。君は半魔のようだし、これは十分な証拠だな。」
「では、人身売買のほうはどうですか?」
「リスト、ある。屋敷の、地下。横領、暗殺、も」
「横領と暗殺も?地下なんてありました?」
「書斎、の、本棚、裏、階段、ある。」
僕の言葉に2人が再び固まる。頭を撫でられ隣を見ると、ヴィー兄様がこちらを見ていた。
「ルークはなんで知ってるの?本棚の裏なら隠しているってことでしょ?」
「暗殺、は、関わった、こと、ある、から。」
「そっか。ところで、お腹空かない?」
唐突な質問に反応が遅れる。
「お、なか?」
「うん。この2人は固まったままだし、一旦済ませちゃおうか。」
僕が頷くとヴィー兄様に抱き上げられた。そのまま一緒に食堂へ向かう。
ヴィー兄様は、抱き上げてくれる今の今まで、ずっと手を握ってくれていた。
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