ヴィー兄様と…… ①暖かい朝

意識が浮上し、目を開ける。目の前には昨日と同じくヴィー兄様の顔があった。僕がじっと見ていると、ヴィー兄様も目を開ける。


「おはよう、ルーク。」


「おは、よう。」


朝のあいさつをしながら身体を起こし、貰った服に着替える。


「今日からは僕らのうちの誰かがルークと一緒にいるから、遠慮なく甘えてね。」


「甘、え?」


「うん。やって欲しいことはできる限りやるから。」


「やって、ほしい……こと……」


「もしかして何かあるの?」


「えっ、違っ、えっと、、、」


「正直に話して?」


「うぅ、、あ、たま、撫でて、欲しっ、、、」


申し訳なくて最後まで言えない。俯いたままでいると不意に抱きしめられて、頭を撫でられた。驚いて顔を上げると、ヴィー兄様が微笑みながら僕の頭に手を置いている。


「可愛いね~ルークは。言ったでしょ、甘えてって。こんな事くらいなら何時でもやってあげるよ。」


恥ずかしいけど、やっぱり凄く安心する。心がぽかぽかして落ち着くし、撫でられるのは好きだ。

暫くほわほわしていると、ノックが聞こえて誰かが入ってきた。


「失礼します。監査役の方がルクライア様に聞きたいことがあると。客室にて待って頂いていますがどうされますか?」


「かん、さ?」


「監査役っていうのは、貴族間での問題を調べる人達の役職名だよ。圧力を受けないように上流貴族がほとんど。でも、ルークはまだ人慣れしてないし遅らせられるけど、どうする?」


「ヴィー、兄様、も、いっ、しょ?」


流石に1人では辛い。昨日の夜も知らない人の声だけで過呼吸が悪化しちゃったし。


「もちろん一緒にいるよ。それならできそう?」


こくりと頷くとヴィー兄様に手をとられる。そのまま入ってきた人に案内されて、一緒に客室へと向かった。


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