悪夢② side ラインハルト
ルークが寝てしまって、部屋に運び、執務室にクリス、ヴィー、マリア、エドでいる時だった。
「ルクライア様が過呼吸をおこしておられます!」
騎士からの連絡が入り、ルークのいる部屋に全員で走る。扉は開けっ放しになっていて中に入ると、苦しそうにしている過呼吸状態のルークと、その隣で落ち着かせようと頑張っている騎士がいた。騎士をさがらせ、エドにルークを診てもらう。
暫くしてルークの呼吸が落ち着き、みんなでほっとする。ルークは酸欠状態で疲れているようで、エドに完全に身体を預け、ぐったりとしていた。近寄って頭を撫でようとすると、ルークが小さい、聞き逃してしまいそうな声で言葉を紡いだ。
「捨て、なぃ、で、一人、に、しな、い、で。」
「「「「「…!!!」」」」」
みんなにも聞こえたようで、全員が目を見開く。家族になったというのに、何を言っているのか。こちらから手放してやるつもりなんて毛頭ない。第一、過呼吸になったくらいで捨てるわけなんてないのに……
いったいどれほど酷い仕打ちを受けてきたのか。ルークを苦しめた奴らが許せない。
安らかな寝息をたててルークは眠っている。年相応の穏やかで可愛い寝顔に心が癒される。私達はこの子の笑顔も、泣き顔もまともに見れていない。家族になってくれると言ったときの顔も少し目尻が下がり、表情は緩んでいたが、笑顔とは言いがたかった。いつかこの子が心から笑えて、感情を表に出せるようになるように、少しでも心の傷を癒してあげなければ。
「すぐに書類を作成しないといけないな。」
「そうですね。早い方がルークも安心できるでしょう。」
「なるべく一人でいさせないがいいと思うよ。きっと、一人になる度にルークくんは恐怖を覚えてしまうだろうから。」
「じゃあ、今日も僕が一緒に寝るよ。」
「寝る時はヴィーや、アルが一緒に寝てあげてください。普段はなるべく、私達で交代交代で一緒にいてあげるといいと思います。一人ずつなら時間を取れると思いますし。」
「そうだな。」
「アルとアンジェへの伝達は2人に任せるから、よろしくね。」
「「はい。」」
ルークが少しでも明るくなれたらいい。そん思いながら、私達は部屋を出た。
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