第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」④

※場所は佐賀県武雄市朝日町たけおしあさひちょうエスカンパニー前。第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」③の1週間後。9月17日。時間は10時頃(※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。★は出来ればお願い項目。傍点は佐賀弁。


<家族を見送った後、2人揃ってゴム手袋とマスク、長くつ完備でエスカンパニーの片づけ作業を続ける"ゆう"と志織しおり


志織しおり|:「社長、この資料はどうしたら良いですか?」


<憂の前に泥まみれになった書類を見せる志織しおり…。>


ゆう:「(※少し悩みながらも)う~~~ん。これは私が忘れている位なレベルだから、"燃えるゴミ袋"入れにポイって良いよ!」


志織しおり|:「分かりました…。それにしても…。エスカンパニーはこんなに物があったんですね!大半は災害ゴミで処理場へ持って行かれましたけど…その後からも色々と出てきますね…。それに、レッカー車も来ていないので、会社の駐車場に車が並んで凄いことに!」


ゆう:「私は昔から車やバイクは好きというか…、どちらかというとストレス発散の為の機械いじりやカスタムしたりするのが小さいころから大好きなんだけど…、ここまで泥水が車の中に入っていたら修理なんてできない状態だし…。せめて、早く自動車保険の"特約"でかけていた"レッカーサービス"さんが来てくれたら、この"廃車置き場"と化してる会社の駐車場も奇麗さっぱりになるんだけど…。(※さらっと言い流すように)それに…これから車もバイクも益々、増えるから…ハハハハ…」


志織しおり|:「(※不信感を込めて)しゃ、社長…何か言葉の最後あたりに"意味深な事"を言いませんでした?」


ゆう:「(※すっとぼけながら)な、何か言ったっけ?」


志織しおり|:「(※不信感を込めて)社長、昔からですが最近、益々、ですよ!あっ!そういえば私、社長にお聞きしたいことがあったんですよ!1週間前に涼子りょうこさんに聞いたんですが…。」


ゆう:「涼子りょうこちゃん?村下 涼子むらした りょうこちゃんの事?それなら今、来たわよ!」


<ブオオオオオオオオンという大型バイクのマフラーから出る爆音がエスカンパニーに近づいてくる。大型バイクが片づけ作業中のゆうと"志織しおり"|の前でエンジンを停止し全身作業着を着た黒いフルフェイスヘルメットの人物がバイクから下りる。>


ゆう:「(※待ってたように)涼子りょうこちゃん、待ってたわよ!」


志織しおり:「(※驚きながら)あのバイクの人…りょ、涼子りょうこさん?なんですか?」


<黒いフルフェイスヘルメットを脱ぐ涼子りょうこ…。>


涼子りょうこ:「おはようございます!"緒妻おつま"社長!」


ゆう:「涼子ちゃん、おはよう!お疲れ様。朝早くからすまないねえ~♪」


涼子りょうこ:「(※プププッと笑う)社長も相変わらずですね!あと、よ!"志織しおり"!」


志織しおり:「おはようございます。凄いバイクですね!あと、ちょうど、1週間前の"涼子りょうこ"さんの話をしていたところだったんです。」


涼子りょうこ:「(※不思議そうに)バイク?"緒妻おつま"社長のバイクの方が凄いでしょう!あの異名"白い雷神"そのまま…。3人の子持ちとは思えないあの豪快さ!ハハハハハ…。あ、、ウチが何か噂されるような事?」


志織しおり:「い、いえ…(※しばらく間をあける)そうじゃなくて…しゃ、社長の…。」


涼子りょうこ:「あ~。そうそう、"志織しおり"の隣の部屋の事?」


志織しおり:「そう、それ!」


涼子りょうこ:「勿論、今日はそれの報告と、このエスカンパニーさんの被災による国からの"改修工事かいしゅうこうじ支援"の該当部分の確認と見積もり調査に、一応、ですよ!」


ゆう:「"涼子りょうこ"ちゃん、それじゃあ、先ずは報告をお願い。」


涼子:「え~っとですね。昨日で社長の妹さん達が入居する部屋のリフォームは完全に終わりましたよ!いつからでも引っ越しOKです!」


ゆう:「流石!涼子りょうこちゃん!」


涼子りょうこ:「あとは"緒妻おつま"の"改修工事かいしゅうこうじ支援"の該当部分の確認ですね!罹災証明書りさいしょうめいしょ武雄市たけおしからいただいた書類はあるですか?」


ゆう:「あるある…。直ぐにに持ってくるから…」


<いそいそとゴム手袋を外して、建物内に入るゆう


志織しおり:「涼子りょうこさん、改修工事かいしゅうこうじって何ですか?」


涼子りょうこ:「相変わらず、色々と知らないんだねえ~。今回の水害もだけど、災害で被災した家屋には"被災住居ひさいじゅうきょ応急支援おうきゅうしえん制度"っていう国からの支援金が出るんだよ。"緒妻おつま"社長のご自宅は、それに該当してるんだ!だから最低限住めるような状態にするために工事をする…。その為の該当部分の調査や見積もりにウチは来たんだよ!」


志織しおり:「でも…一応、社長たちは、この家に住まわれているみたいですけど…大丈夫なんですか…。」


涼子りょうこ:「何て言ったらよかかな…。今回の水害では、目に見えない部分…。例えば床下の貼りや腐ったり、壁に使われている"断熱材"が泥水を吸って、そこから黴がでてきて身体によくない物質をだしたり、ほかにも色々あるど、目に見えないだけで、最低限住める状態ではないと認定!ほかにも"被災者ひさいしゃ生活再建せいかつさいけん支援金しえんきん"って別の制度にも該当してると!だから、結構な改修工事になるね!」


志織しおり:「そ、そうだったんですね…。社長はそんな事は言われなかったので…。」


志織しおり:「そ、そうだったんですね…。社長はそんな事は言われなかったので…。」


涼子りょうこ「することが多すぎて、普通の人ならお手上げなレベルやけど、そいでもね!」


ゆう:「涼子りょうこちゃん、お待たせ!罹災証明書りさいしょうめいしょ諸々と持ってきたよ!書類の量が多すぎるから全部お任せします!」


涼子りょうこ:「これがウチの仕事ですから大丈夫ですよ!市役所の方にはウチが諸々と手続しときますから。あと、例の計画もですよね!」


ゆう:「そりゃあ、勿論やるわよ!」


涼子りょうこ:「楽しみだ!ワクワクしますね!何でもですね!」


ゆう:「何ごともワクワク楽しみながらしないと!」


涼子りょうこ:「ま!とりあえず今日は先に"被災住居ひさいじゅうきょ応急支援おうきゅうしえん制度"と"被災者ひさいしゃ生活再建せいかつさいけん支援金しえんきん"の該当部分の調査と見積もりの概算します。勝手に上がってですか?」


ゆう:「勿論、頼んだわよ!涼子りょうこちゃん!」


<無言で片腕を上げてOKサインをして、エスカンパニー内に入っていく涼子りょうこ…。外したごみ手袋を付けなおして、再度片付け作業に入るゆう…。真相を聞けず何かモヤモヤしている志織しおり…。>


志織しおり:「しゃ、社長…。」


ゆう:「志織しおりちゃん、何?ずっと何か言いたそうだけど…。何かあった?」


志織しおり:「いえ…。私の隣の部屋に引っ越してくる人って、社長の妹さんなんですか?1週間前に涼子りょうこさんから聞いて初耳なもので…。」


ゆう:「あっそれ!私の妹…。2人いるんだけど、来週あたりから来るよ!どちらも歳が離れた妹なんだけど…。色々あって、私が面倒みなくちゃいけなくなったのよ!上の妹は、"志織しおり"ちゃんの"後輩社員"になるから…。可愛がってあげてね!」


志織しおり:「は、はあ…。」

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