第2話「忙しなく過ぎ去る日々…」②

※場所は佐賀県武雄市朝日町たけおしあさひちょうエスカンパニー事務所内。第2話①のあと。9月最初の週。被災より1週間程度経過。時間は15時頃(※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーションです。★は出来ればお願い項目。青字は佐賀弁。


<いつきまさるが小学校より帰宅してくる…。>


いつき:「ただいま~」


まさる:「ただいま~、今日もいつきと、ちゃんと2人で一緒に帰ってきたよ!」


ゆう:「(※申し訳なさそうに)いつき、ごめんね。お母さんが迎えにこれなくて。お父さんもお仕事で帰りは遅いから…。片付けで手一杯なの…終わりが見えないって感じ…。」


志織しおり:「社長、お子さんの御迎えの時は片づけは私がしますよ!」


ゆう:「いや、お迎えは仕事じゃないから。志織しおりちゃんにそんなことは頼めないよ。ボランティアや市の方から派遣された業者の方達も毎日沢山来てるし、それにいつ来るかも分からない。こんな事は被災した誰かがが家にいないと対応できないからね。それに、学童も今回の豪雨被災で特例で、下の子達をそのまま帰してくれてるから本当に助かってる。」


志織しおり:「社長、すいません。お役に立てなくて…」


ゆう:「そこは謝るところじゃないから…」


樹:「今日は"自衛隊じえいたい"の人達が"慰問演奏会いもんえんそうかい"に来てくれた。上手だったよ。"蒼羽あおば"さんみたいにラッパを吹く人もいた。」


ゆう:「良かったね。"自衛隊じえいたい"の人は本当に”休んでるのかな?”と思うわ。避難所での支援だけでなく、"慰問演奏会いもんえんそうかい"まで…。本当は…"蒼羽あおば"くんも"市民管弦楽団かんげんがくだん"の方で、"慰問演奏会いもんえんそうかい"をやりたかったんじゃあないのかな…」


志織しおり:「専務…あのアイドル活動を始めたバイトの子達や、今回の豪雨被災で、自分の楽団の方にも被災されて方がいるそうで…楽団自体の活動もできる余裕なさそうです…。」


ゆう:「(※申し訳なさそうに)"蒼羽あおば"くん、"嬉野市"の"市民管弦楽団かんげんがくだん"の団長だし…。あ~見えてもエスカンパニーの誇るだから(※ハハハと苦笑)。楽団も方も忙しそうだったから、自宅の嬉野市うれしのしから近い鹿島市かしましにお店をオープンして、代わりの店長が見つかるまでという約束で、お店の方を任せたんだけど…。(※残念そうな声色で)逆にそれが仇になったね。」


志織しおり:「専務はご自宅は大丈夫だそうですけど、楽団の方の中には被災されてる方や、親類や友人知人が被災してるからと、災害ゴミの廃棄作業や、修理や消毒作業などでボランティア活動にいかれてる方も少なくないそうで、楽団の方は豪雨災害の復旧が落ち着くまでは少し活動は控えるともいわれてました。」


ゆう:「エスカンパニーとしては、お店を守ってもらえるから助かるけど…。本当に残念ね…。」


志織しおり:「あれ?まさるちゃん、何だか重そうな荷物を持ってるね。お姉ちゃんが持つのを手伝うよ。」


まさるの手に余るほどの大きな紙袋に気づく志織しおり。袋の中には教科書類が入っている。>


まさる:「今日はこれをもらってきたよ。」


ゆう:「(※少し驚き声で)き、教科書…。全部、どろ水でダメになってたもんね…。志織しおりちゃん、ゴメンね。今、仕事と関係ないと言ってたけど、この教科書の入った紙袋を家の中に運んでもらえる?」


志織しおり:「社長、分かりました。」


<教科書の入った紙袋をまさると一緒に、建物内に運ぶ志織しおり…>


いつき:「鉛筆も、ノートも、書道道具も、絵の具道具も…。あとから学校から用意してくれるって。学校が9月から始まって、直ぐに教頭先生から何が使えなくなったか、質問されたから…。忘れているものもあるかも知れないけど、覚えているのは全部言ったよ。」


ゆう:「本当にありがたいわね。子供たち3人分の教材もどうしようかと思ってたから…。意外と馬鹿にならない金額になるし…(※しばらく間を空ける)いつき志織しおりちゃんとまさるのお手伝いをしてあげてね。」


いつき:「はーい。」


志織しおりまさるに続いて、建物内に入るいつき…。再び、被災ゴミをまとめる作業に戻るゆう…>

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