第1話「令和元年の涙雨」②

※場所は佐賀県武雄市朝日町たけおしあさひちょうエスカンパニー職員寮にて。時間は朝6時頃。(※)内は演出指示です。<>はセリフ以外の演出ほかシュチュエーション、傍点は佐賀弁。






<滝の近くにいて滝が流れる様な音、ドドドドドドド…が静かめに聞こえている>




アナウンサーの声:「大雨の現状について、気象予報士のせきさんに引き続き解説をお願いいただきます。




女性気象予報士:「こちらの画面をご覧ください。深夜3時頃に佐賀県を中心に振り出した豪雨が継続的に現在も降り続け、この状態がつづいています。佐賀県の降り始めからの降雨量が既に数時間の間に例年の1か月分の…(※声が次第にフェイドアウトする)」




<バタンというドアが閉まる音>




おばちゃん:「志織しおりちゃん、もう階段の真ん中まで水の。このままやむ気配も。うちも消防呼んで来てもらおうとおもうとやけど、志織しおりちゃんも、?」




志織しおり:「は、はい。もう社長も避難所に逃げてる。私も避難所に行きます。」




<プルルルル…という電話の音。>




消防の男性A:「119番です。どうされました?」




おばちゃん:「水が上まであがってきてると。…。」




消防の男性A:「ご自宅からですか?ご住所は?」




おばちゃん:「武雄市朝日町高橋たけおしあさひちょうたかはしの…アサヒメゾン」




消防の男性A:「番地は何番ですか」




おばちゃん:「番地は24555の…」




消防の男性A:「水はどこまできてますか?」




おばちゃん:「うちは2階建てのアパート、1階は全部つかっとる。2階ももう!」




消防の男性:「今、何人?いらっしゃいますか?」




おばちゃん:「ウチと、子供2人、あと1階から避難してきた女の子が1人…」




消防の男性A:「分かりました。今から救助に向かいますが、どこも同じような状況で、なるべく直ぐにはお伺いしたいと思いますが…。出来るだけ、高所に避難をしておいてください。」




<プープープーという電話がきれた音いう電話の音。>




おばちゃん:「志織しおりちゃん、聞いてたやろ。ごめんけど、ウチも消防くるまでギリギリ逃げる準備。ウチの子。」




志織しおり:「はい。」




<バタバタと準備をするおばちゃんの物音。※可能ならおばちゃん役の方がブツブツ独り言をおねがいします。>




志織しおり:「大丈夫?」




子供2人(※構成は自由に可):「志織しおりねえちゃん、大丈夫!」




志織しおり:「2人は




<ドンドンとドアを激しく叩く音が聞こえる>




消防の男性B:「消防です。助けにきました。階段のところにボートばです。」




<バタバタと人が動く音。※可能なら志織しおり、おばちゃん、子供役の方がブツブツ独り言をおねがいします。>




消防の男性B:「揺れますから注意してください。子供さんは大人の方が先ず、抱えてボートに乗せてください。」




おばちゃん:「志織しおりちゃん、手伝って」




志織しおり:「わ、分かりました。」




志織しおりとおばちゃんウンと力を込める音。ドンとい子供2人がボートに降りた音>




消防の男性B:「お二人もボートへ」




おばちゃん:「志織しおりちゃんから先にお乗り」




志織:「お、おばさん…」




<ザザザザという無線の音>




消防の男性B:「(※無線に対して)救助の連絡ありました朝日町高橋あさひちょうたかはしのアサヒメゾンより避難者4名が救命ボートに乗りました。今から近くの避難所へ向かいます。どうぞ!」




消防の男性A:「了解。どうぞ。」




消防の男性B:「水が深い所までは私が押しますから、ボートから落ちないようにつかまっておいてください」




<ザーザーとボートを押す音が聞こえた後、モータボードが起動する音がなりボートが水をきる音が聞こえる…>

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