第15話 銀河の苦悩

 新しい息吹に満ちた国は、若い女王と美しいお姫様のおかげで、旅人が多く訪れる。国家の資金は潤っている。


 側近たちは次元上昇した美しい魂の元犬たちで、彼らは主人に忠実だ。

「この国が更なる発展を遂げるのは、婿が必要だが……、銀河は頭を抱えていた」


 寿命は倍に伸びたのだ。焦ることはない。

新たな魂も、今や空を埋め尽くすほどだ。次の世代の医師が育てば、全国民に新しい魂が行き渡る。


 その頃にはナライにも新しいピュアな魂を入れてやる。きっと凄く魅力的になるだろう。


 俺は! 俺はもはや犬ではない、れっきとした人間だ。もしや、ナライに結婚を申し込む権利はあるのだろうか。その時になれば、ナライも男を見る目が変わるんだろうか。


「俺は国王に使えていた。塀の隙間から、次元の出口を見つけて、下の世界に迷い込んだんだ。次元移動したら人の姿になっていた。偶然ナライを見かけて、ひと目惚れしたんだ。それで、観察するうちに君の才能に気がついた」


「犬のあんたにひと目惚れされたってのはありがた迷惑だ」

ナライにとっては俺はまだ犬のままなのか。ため息しか出ない。

「君が魂の研究をしていたは、正に天の助け、その頃には第三世界も情報を察知していた。王命により、君を第六世界に連れ帰ることに成功したんだ」

「銀河よ、あたしがゴミ箱に捨てた私的なメモを盗み出しただろ。はじまりはシェパードが咥えて来たメモだと記録に残っている。こっちの世界では犬と人間、どっちが本当の銀河なの? あのカッコイイ銀河がシェパードとは、幻滅だ、落胆した」


「人の姿でいられるのはせいぜい6時間、犬の間は番犬として、屋敷にいたんだ。犬の間は、セントバーナドが守ってくれた。僕はセントバーナードを連れて次元移動をして、穴に入り彼女も人間の体になった」

「あのシェパードは、モナカにやけに吠えるから、おかしいと思っていたよ」


「アンドロイド二体を、モナカとナライに置き換えた。家族とあまり話さないナライは完璧に入れ替われた。モナカのママには先にバレたんだ」


「さすがはモナカのママね」


「モナカを返せってすごい剣幕で、組みかかってきて、隣に住むナライの両親が駆けつけてきた。どうにもならなくなって、兵隊に確保して貰った」

「まったく、派手に動いたものだね」

「檻に押し込み、洗浄してみた、あとは知っての通りだ。犬たちも洗浄したことで、人に昇格できたんだり彼らは元々ピュアだからね、ナライ、僕の魂だって作られたばかりだろピュアなんだよ。君が酷い言葉をぶつけるたびに傷つくよ」


「銀河よ、私の魂は、まだドロドロだ。このまま平均寿命まで生きられるとしたら、60年以上ある。洗浄する必要は感じない。防御力が鈍くなるだろ。国防のためだ」

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