第14話 家族と再会

「あなたになんの権利があるのよ、ナライも一緒なんて、ママたちは、許さないわよ」

モナカのママの後ろには母さんがいる。

『ママたち』とは何の冗談なんだ、まさか母さんは、モナカのママと手を組んだとか?


「まあ皆さま落ち着いて下さい。まずはいきなり洗浄機に押し込むような失礼をお詫びいたします」

洗濯されて、ピュアなハートを手に入れたんだ。

「なぜメイド頭が……?」

モナカは長いまつ毛をせわしなく瞬いている。


「銀河様、ちょっとお入りなさい」

皆んなで、偉そうに背筋を伸ばしたメイド頭につれられて、ダイニングルームに入った。


「モナカ、メイドが席についてる」

ナライは見ている光景が信じられない。父さんも、母さんもママも素直に従っている。モナカは興味がない様子で、席につくなり、雑誌のページをめくっている。モナカの思考はすでに限界なのだろう。


「さあ、食事でもしながらお話ししませんと、めんどうなことになりますわ」

銀河がなぜか、つ立ったまま渋い顔で親たちに頭を下げる。


「お嬢様たちは二人ともとても素敵に育ちましたね。私この国の大臣の侍女ございます。クーデターの後で、王女さまをお守りするように主人から言いつかり、メイドとして、この三年間近くにおりました」

大臣の侍女だって? メイド頭は銀河直属の部下なのか?

「ナライ、モナカ、私にはさっぱり訳がわからない。まず、ここがどこか、二人の娘がここにいるなら、家にいる娘たちは誰なんだ。私には妻ともう一人彼女がいるが、昔十分に話し合い、私たちは幸せだ。娘であろうとも口出し無用、質問にだけ答えなさい」


「パパ、酷いと思わないの? よく平気で娘の前でそんなことを言えるわけ?」

 そうだ、私は子供心にひどく傷ついて、モナカが同じように苦しまないことを望んだ。モナカは勘違いし、自分にナライが逆らえないと思い上がって行った。私はモナカに同情していたんだ。


 親父のことは、ナライの母ちゃんとモナカのママで解決しているみたい、大人の事情だ。ナライは家族として、3人とも認めていない。モナカに罪はない、罪があるとすれば、モナカを取り巻く大人たちの罪だ。

 

 それきり、久々の家族再会は、黙々と食事をするシーンで終わった。


 ナライは食事のあと、銀河だけを部屋に呼んだ。銀河はソファーに寝そべってくつろいでいる。

「銀河、なぜ勝手な行動をした?」


銀河がしゅんと首をすくめた。あれ? その姿、見覚えが……。

部屋のドアが勢いよく開いた。

「ナライ、そいつお屋敷のシェパードだ」

モナカが銀河の頭をぺしぺし叩いている。

「メイド頭はあのセントバーナード。メイドたちは、その辺で戯れていたワンコたちよ」

まさか!

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