第37話 悪役令嬢の帰還

 私はレオ様と一緒に村を出た。本当は残りたい気持ちもあったがそれだとこの村を守れない。

 

「もうしばらく残っても良かったんだぞ」


 レオ様はそう言ってくれたけど、これ以上心配をかけるわけにはいかない。セオのお父様であるノーライア伯にも大変ご迷惑をおかけした。だから早くお会いして謝らなければ。


「もし会うのが気まずいんだったら僕が代わりに言っとくよ?怒られることには慣れてるし」


 セオもそう言ってくれたけどそういう訳にはいかない。迷惑をかけたなら直接謝るのが筋というもの。だから私はノーライア家の屋敷に向かっている。

 今後のわたしは迷惑と心配をかけた人たちに謝罪とお礼をしなければならない。だがそれ以上に重要なのはあの村が騎士団を撃退してしまったという事実である。騎士が民にやられたとなれば騎士だけでなく、国家すらもあの村に兵を差し向けて壊滅させかねない。民に負ける弱い騎士という噂が広がらないように力を見せつけなければならない。私はそれを阻止しなければならない。10才の子供がどこまで出来るかわからない。だけどここまでやってやっと一仕事だと思う。

 私は貴族だから、貴族としての責任を持つ。そして守りたいと願って行動した責任も取らなければならない。だから今回は私はいかなる罰を受けてもあの村を守る。そう決めている。

 大したことではない。私はもともと悪役令嬢。それが本当のことだと証明するだけだ。本物の悪役になるだけのこと。この国の誰からも否定されても、誰も信じてくれなくても私は私の信じた道を進む。それだけだ。


「メグ。これから君がやろうとしていることは辛いことかもしれないけど、君が良ければ僕も手伝うよ」


 セオがそう言ってきた。私は驚いた。


「え?どうして」


 私がそう聞くとセオとレオ様がそれぞれ口を開く。


「いやそもそもの原因を作ったのは僕らだしね」

「確かに。僕たちにも責任があるな」

「それの僕らは友達だろ?」


 セオはなんの邪気も感じさせない顔でそう言ってきた。おそらくそれは本心なのだろう。私は2人に感謝の言葉を言うと、2人は笑って大したことじゃないと言ってくれた。

 そうして私は帰る。自分がいるべき場所へと。

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プリヴィアスライフズ(2/3) ~悪役令嬢の帰還~ ゆうさむ @fyrice

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