なぜ、皆、ありふれた世界を見るのだ?


 同じようなタイトル、同じような属性、同じような展開、同じような……etc


 私は例えこのような物の中でも、独自性を切り出した作品は好きだ。

 さらに言えば少数ジャンルを切り開いた作品も好きだ。

 もっと言えば内容緻密な描写の作品も好きだ。

 

 だが今や、誰もが娯楽の為に同じものを求め、流れるように勧められた物しか見ない。それ自体はまぁ、いい。気休めとしては丁度いい時もある。


 思考を一定に、似たような世界観から抜け出す事無く。

 一つのジャンルの殻に閉じこもる。


 私が嘆くのはこの時代新たな世界を創り出してもそれが目に止められる事無く量産品の波に沈められてしまう。


 そんなものを掬いあげるのは難しい。

 

 作家達もそうだ。売れたいが為に変わらぬ物をベルトコンベアのように書き送り、鬱憤を晴らすためだけの感情的なモノを送り出す。


 自らの芸術性へのこだわりも!

 自らが思う社会への鬱憤に対する思いも!

 自らの内面から溢れ出すような感性も!

 そんなモノは無く!

 似たようなモノで押しつぶし!

 視聴数に魂を売ったような量産品ばかりだ……


 私が上記に書いた切り開いたものが好きと言った。


 それらは作家の抱える新たな視点だ。彼らの感性、知性、芸術性と言ったものをいかに練り上げ作ったような、そこらの単なる模造品とは違う、正真正銘の、心、魂が吹き込まれた物なんだ!


 誰もが思いつかなかったようなイカレたスンバらしい概念!

 知的で分かり易く、されど彫刻のように独自の世界観が刻まれた設定! 

 そして!作家の内面がそこかしこに刻まれた芸術的な文章!


 模造品には見られない、切り開いた作家のやりたい展開、伝えたい事、吐露される内面から考えられる人間性が私には美しくてたまらない。

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自分の価値観 西城文岳 @NishishiroBunngaku

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