第25話 誕生日
夜。20時から自分の配信を開始して1時間ほどが経った。
『よし、それじゃあここらへんでいったん止めて今から”たまも”の凸待ち行くよ~』
[コメント]
:お? 誕生日か?
:凸待ち行くのか
:いってらっしゃーい
:
:
:
配信をチェックして行けそうなのを確認する。
Discordで”たまも”にメッセージを送る。
[九重 たまも]
『お疲れ、今から大丈夫?』
『OKじゃ』
OKが出た。
『それじゃあ! いってくるね~』
〇〇〇
Discordに入る。
『誕生日おめでと~』
『来てくれてありがとうなのじゃ~』
今回の凸待ちは俺、”なな”がトップバッターでその後大手の事務所所属のVtuber達が来る予定になっている。
『”なな”も今配信してたんじゃろ? 大丈夫じゃった?』
『全然問題なし! ”たまも”こそ私がトップバッターで良かったの?』
『もちろんじゃ! 個人でも”なな”は同期みたいなもんじゃしな』
なんだかんだ”たまも”とは一番よく絡むVtuberだし俺も絆のような物を感じてた。同じものを感じていてくれることに少しうれしくなる。
『嬉しいこと言ってくれるじゃん!』
『照れるのぉ。それじゃあトークデッキ考えてきてるからの』
ミュートで”たまも”の配信画面をチェックすると右下に3つほどトークデッキが用意されている。
・コラボについて
・去年一番印象に残ったこと
・今年の目標!
『この項目って誕生日で聞くこと!?』
『何話すか迷った挙句こうなってしもうた(笑)』
『迷走してんねwww』
『この中から1つ選んで欲しいんじゃが”なな”にはこちらから聞かせてもらおうかの』
『へぇ、なに?』
『もちろんコラボについてじゃ!』
『コラボ? 年末2回くらいしたよね』
年越しは急遽コラボになったがこれくらい頻繁にコラボをするのは稀だ。
『そっちじゃない、オフコラボの件じゃ!』
『あぁ~、そっち?』
完全に忘れてしまっていた。前々回コラボしたときに賭けでゲームをしたときに取り付けられたオフコラボの約束。俺の中で完全になかったことになってしまっている。
『忘れとったろ?』
『うん! 忘れてた』
『元気に返事しとるんじゃない! 日程決まるの待ってたんじゃぞ』
そういえばスルーしてたけどDiscordにそんなメッセージが来ていた気がする。
『ごめん、ごめんwwwじゃあまた決めようね』
『そうやってまたはぐらかす気じゃろう。そう思ってこっちも考えて来とる! 誕生日プレゼントはオフコラボの日程決めじゃ!』
『うぇ!?』
個人的には”たまも”がどうしてここまでオフコラボに固執するのか分からないが何とかしてはぐらかしたいところだ。
『っそれはさ~、まだスケジュール分かんないし……』
『別にすぐじゃなくてもいいんじゃよ、来月とかでもいいし』
『そう言われてもな~』
配信中であり、かつ”たまも”の誕生日ということもありイケイケ状態だ。俺もあまり強く拒否できないし。
コメントを見たところ結構どちらの枠でも盛り上がっている。
[コメント]
:コラボ楽しみ!
:いつするんだい?
:オフコラボ初か
:今決めちゃいな!
:
:
これはさすがに断ることは難しそうだな。
『じゃあ来月の後半とか?』
『了解じゃ26日が土曜じゃしそこでいいかの?』
『OK~』
『サンキューじゃ! 最高の誕生日プレゼントなのじゃ~』
”たまも”はルンルンでモデルを左右に動かす。
マズいな康介達と作戦会議をしないと。
〈にゃん太〉先生に続いて”たまも”にも身バレしてしまう危険が生じてしまった。
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