第15話 準備
千鶴に〈にゃん太〉先生のヘルプについて返事をした後で新衣装配信の内容について考える。
考えるとはいっても配信内容はもう決まっていて最後の構成についてだ。
「そういえば何してたの?」
作業をしていたら後ろからPCを覗き込みながらの質問だ。
「新衣装配信の構成考えてる」
「へー! 配信なにすんの?」
「歌枠の予定。 だから今セトリとか考えてるんだよ」
「歌枠!? 久しぶりじゃん!」
「だろ? そんで何歌うのがいいか悩んでる。できるだけクリスマス感ある選曲がいいよな」
たまにやる歌枠ではJポップよりもアニソン中心のセトリを組むことが多い。
その辺千鶴辺りは現役JDなのでいいアドバイスをくれそうだ。
「そうだねー、それなら……」
そういっておススメの曲を数曲教えてくれた。
最近〈子月なな〉の運営に千鶴がいることに違和感が無くなって来ていどころかどんどんいなくてはならない存在になりつつあることに若干複雑な思いを抱いてしまう。
「サンキュー、参考にするわ」
「うんー」
いくつか候補が上がったところでカラオケ音源があるかを確認する。
カタカタとPCを操作し確認をしてみる。
「全部音源あるな」
「兄貴はいつも部屋で練習してんの?」
「いや、近所のカラオケ行って練習してる」
「ふーん」
「てことで、俺は今から練習しに行くから適当なところで帰れよ」
「りょうかーい」
部屋に千鶴を残したまま俺はカラオケへと向かった。
〇〇〇
近所のカラオケへとやって来た。
近所とはいえマンションからはそれなりに距離がある。駅前の大手カラオケチェーンのため人の出入りもそれなりに多い。
いつもは店の出入口から一番遠い部屋を希望するのだが今日は既に他の客が使っているようだ。仕方がないので一部屋となりの部屋で妥協する。
部屋に入ると、となりの部屋から歌声が聞こえてきた。
非常にハスキーボイスでちょうどこの間コラボした”たまも”とは真逆な感じだ。可愛いというよりカッコいい声だ。
「上手いな」
壁越しなので所々聞き取れないところもあるが圧倒的上手さを感じる。
「となりの人も配信者かもな」
深くは気にせず俺も練習に励もうとマイクを取った。
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