第13話 コラボ5

 コラボ終了後。配信は終了しても”なな”と”たまも”の通話はつながっていた。

 『それじゃあ”なな”オフコラボの件よろしくの』

 『あー、マジでやる感じ?』

 『もちろんじゃろう! 楽しみにしているぞ』

 『まぁ、そのうちね。予定があったときによろしく』

 『ふむ。まぁ今はそれでもいいかの。それじゃあ今日はありがとの』

 腑に落ちないといった返事だがとりあえずは飲んでくれたようだ。俺としてはこのままバックレる気も満々だ。

 『ありがとねー! んじゃまた~』

 『お疲れなのじゃ~』

 そして通話を切った。

 手元のスマホを見るとものすごい数のラインが届いていた。

 配信中は色々いっぱいいっぱいでスマホを見る余裕がなくなっていた。

 「千鶴からめっちゃライン来てんじゃん」

 通知を見てみると千鶴8、康介2といった感じだ。


 〈千鶴〉

   :

   :

 『なになに! オフコラボスンの!?』

 色々届いていたがほとんど見ずに最新のメッセージだけを確認する。

 『とりあえずDiscord入れるか?』

 『りょ』


 康介にも同じラインを送り反省会用のDiscordに入る

 『おつー』

 『お疲れ、とんでもないことになってんじゃん』

 『それな、マジどうしよ』

 『おつかれー! オフコラボいつすんの?』 

 『バカ、やれるわけないだろう。中身俺だぞ』

 『あー、それもそっか。勿体ない』

 『こっちは冷や冷やだっての。どうやって断るかな』

 『まぁ自然消滅しかないね』

 『しかないかぁ』

 『えー見たっかたなぁ』

 『無理無理』

 『仕方ないね』

 俺と康介の判断は同じでオフコラボは無しの方向だが、千鶴はオフコラボして欲しかったようだ。

 『そうゆうことで何とかして断るか、自然消滅するの待つって方向でよろしく』

 『了解』

 『あーい』

 その後配信についての反省を行い、反省会はお開きになった。

 PCをシャットダウンしようとしたときのこと”たまも”からメッセージが入っているのに気が付いた。

 「嫌な予感がするな」

 このタイミングでメッセージを送ってくるなんていい予感がしない。

 

 〈たまも〉

 『今度のクリスマス3Dで妾がお邪魔してもいいかの?』


 クリスマス配信ってもうすぐ予定している新衣装発表のことだろう。

 すぐに断ることもできるが今後の関係を考えるとそれもためらわれる。

 「いったん見なかったことにして今日はもう寝るか……」

 俺一人で決めることもできないし、正直キャパオーバーなので今日はもう寝ることにした。


                 〇〇〇


 次の日

 朝も早い時間にラインの音で目が覚めた。

 眠い目をこすりながらスマホを確認すると”たまも”からのメッセージが目に入った。


 〈たまも〉

 『メッセージ見たかの? できるだけ早めに返事が欲しいのじゃ』


 昨日スルーした返事の催促だった。

 「どんだけオフコラボしたいんだよ」

 そして、ふと思い至った。俺はこの感じを知っている。

 千鶴が俺を特定してきた時と似た感じがした。

 「このままだとマズいな」

 そのことに思い至って俺はすぐに返信をすることにした。

 『年内はむずかしいかなぁ』

 これでひとまず年内は大丈夫だろう。

 返事はすぐに届いた。

 『了解なのじゃ、それじゃ年明けにの』

 とりあえずこれで時間は稼げたはずだ。

 また今日にでも康介と考えないとな。

 最近になって色々とピンチになることが増えてきた気がする。

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