追悼14 悪の凌ぎ方ー影狼の法廷(触法少年編)

 「これで問題点のひとつ、いや、ふたつ(実行犯・朴浩二、被害者・細河桜子)が消え去った。あとは、中酷様がばら撒いたウイルスの変異をマスゴミに煽らせ、関心を反らせば、人の噂も七十五日よ、ふははははは」


 仁支川紘一は、縁側から雪を深々と纏った中庭を暖かな部屋から眺めていた。仁支川紘一の思う通り、一部のネット民が騒ぐが、マスゴミでは一切報じられることはなくなった。特に北海道の報道を強健な態度で仕切る北海日道新聞は、正義感溢れる弱小報道機関を広告出稿企業に圧力を掛け抑え込みに余念がなかった。北海日道新聞のバックには中酷資本が潤沢につぎ込まれていた。中酷には二つの顔があった。自分たちに有効な思想を垂れ流す企業体には、低姿勢で応援歌と資金をつぎ込み、逆らう者には資金力で脅しや恐喝・妨害などあらゆる手段を用いて跪かせる顔だ。

 北は、北海日道新聞。南は、琉球共日新聞。日本の北も南も反日・反政府の思想は刷り込まれ、今ではどのような悪意に満ちた手段であっても正当化され、その考えを地域住民に信じ込ませるほどになっていた。

 他の報道機関は、見て見ぬ振りしてなかったこととして日本国民に知らせないのが日常化し、見えない見せない恐怖の報道規制は、お花畑の日本を席捲していた。


 衆議院議員選挙が近づき、武漢ウイルスの手際をマスゴミにクレーマーのごとき言い分で責め立てられ不利とされる選挙を乗り切ろう、あわよくば勝ち抜こうと、自民党総裁選を迎えようとしていた。

 細河桜子の訃報は、世間の関心を集めた。その声は、次第に加害者と校長・副校長、もと旭川市長に向けられていった。奇しくも自己保身のため辞めた仁支川紘一元・旭川市長の後釜の選挙が行われた。元・市長を押していた立心共同党は長くに渡り実権を保持するため新たな候補者を。対してから政権を奪う為、自民党は立心共同党に面白くないとする政党と組み選挙に挑んだ。争点は、立心共同党の思惑に反して旭川市の経済ではなく、教育現場の在り方や行政の取り組み方に向けられた。それでも、組織票で強みを見せた立心共同党が推す新川新三郎が優位に選挙を進めていた。

 形勢不利と判断した自民党は、思い切った手に出た。

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