追悼15 遺憾砲と同じ第三者委員会ー影狼の法廷(触法少年編)

 旭川女子凍死事件の対応の遅れを重く見た柳生文部科学大臣が国会で取り上げたのは、異例の事だった。

 謝罪の会を拒否し、資料が提供されない北勢中学校側の対応について問われた大臣は、親御さんからすれば自分でしっかり対応できない状態で代理人である弁護士が入るのはしかるべき対応でありしっかり対処するべきだと思います、と返答した。さらに大臣は、有耶無耶な対応に個別の事案に関しては答弁を控えさせて頂きますではなく、対応すべきだ、と思います、と私見を述べた。これは、この事件を既に大臣は認知しており、学校や教育委員会に「しっかり対応しろ」と命じたことになる。また、事案が進まなかった場合を問われると、間髪入れず大臣は、その際は文部科学省の職員を派遣し調査させ、場合によれば、自らが直接指導します、と断言した。

 この発言は、地方の管理下を飛び越え直接、国が乗り出すことを意味し、北勢中学や教育委員会に対応しなければどうなるか分かっているなというものだった。

 これを受けて翌日には、旭川市の教育委員会は北勢中学でイジメがあったと認定した。国が閉鎖的で地域にっ着型の地方に睨みを利かした良い例になったが、未だ事件は進展を見せていなかった。

 市の教育委員会の上は、県・道・府。それを飛び越えて国が睨みを利かせてきたから市の教育委員会は震えあがった。職員を派遣すると大臣が発言した時点で、事前調査を含め情報収集のため既に内定調査員は派遣されているのが常だった。

 これに対し、学校の問題に国が乗り出すのは越権行為だ、と自らの非を決して認めない組織・団体が案の定、騒ぎ始めた。

 市の教育委員会が第三者委員会を立ち上げるも無意味な形だけのものだった。市の教育委員会自体、何の権限も持っていない。委員会が仮に教員の不備を認定したところで教員の人事権を持たないので、退職などの罰則を与えることはできないでいた。

それが出来るのは、都道府県教育委員会の教育長が任命権者だ。教員の給料は、都道府県から出ている。よって、お金と人事権は、都道府県教育委員会の教育長が握っているということになる。第三者委員会の立ち上げは、国民の眼を恥部から反らす都合のいい煙幕でしかなかった。

 

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