追悼10 内通者ー影狼の法廷・触法少年

 仁支川紘一元旭川市長の秘書を務める河野新次郎は、すぐに元北海日道新聞の朴浩二に連絡を取った。朴は、北海日道新聞に入社した際、出世したければ、缶酷語を学ぶように強制され、渋々覚えさせられた。国籍は、両親の缶酷愛と反日の強い勧めもあり、特別在留資格の缶酷籍を有していた。


 「君に仕事を頼みたくてねぇ」

 「おお、それはありがたい。フリーと言っても北海日道の邪魔が入り、どこも相手にしてくれない。今では、風俗レポートか副業で探偵の真似事で飯を食っている体たらくでして」

 「副業?強請りたかりが副業ですか、ご立派なことで」

 「知っていたら、聞かないでくださいよう」

 「君が何をしてきたか、しているかは調べてある。それを踏まえての依頼だ」

 「と、言う事はやばい仕事かぁ、まぁ、そうですよね、今の俺には」

 「受けるか」

 「内容次第では、と勿体ぶって言うべきところでしょうが、そんな余裕のない事もご存じと言う事ですか。選択肢はないようですね」

 「では、決まりと言う事で。仕事の内容はある少女の心の支えになり、行動・考えを監視して欲しい。時にはこちらの思惑に従わせて欲しい。それだけだ。簡単だろ」

 「お偉いさんのキューピット役ですか?」

 「そうじゃない。その人物は私たちには不要な者。勝手に動かれれば何かと迷惑だということだ」

 「なるほど」

 「決して、下心で手を出すなよ。そして、私たちを副業と考えるな。北海の幸の栄養になりたくなければな」

 「おお、こわ」

 「で、監視対象者は誰ですか」

 「細河桜子」

 「あの事件の…。事情が深そうですね、分かりました」

 「出会い方は任せるが、コミュニケーションはSNSを使え、接見は出来る限り行うな、あとあとの事を考えてな。SNSのやり取りだけで報酬は、月々30万円。こちらの目的を達すれば、成功報酬として100万円のボーナスを出す」

 「それはありがたい。それで、成功となる状態とは?」

 「それは知らなくてもいい」

 「聞かぬが仏、ですか」

 「ああ」


 濡れ手に粟と依頼を受けた朴浩二は、桜子の周辺を調べ上げた。SNSのやり取りも含めて。桜子が通院している日時を調べ上げ、朴浩二は、桜子の味方だと直接、取材を申し込み断られるとメールアドレスの交換をねだった。朴は桜子が強要されると押し切られる性質を使い、時間をかけ、関係を構築していった。桜子は、味方を欲していた。朴の思惑は、女を誑し込み風俗に落とすより楽と、せっせと桜子との交信に入れあげた。桜子も満更ではない状況になっていた。当然、朴は同年代よりやや上の若者に成りすましての事だった。


 

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