第16話 スキル考察1

さて、これまでの事典系・観測系・魔眼系スキルと、能力鑑定と『記録の記憶』で習得したスキルを並べてみる。


事典系スキル

『同時詠唱』・一度に二つの魔術書を発動出来るスキル

『無詠唱』・言葉を紡がなくとも魔術書を発動出来るスキル

『現象転写』・視認した現象(異能・能力・魔術・技能を含める)を魔術書に写すスキル

魔術書の作り方ブック・メーカー』・特定の素材から魔術書を作るスキル

『図書館の隠し部屋』・図書館へ入室した際、隠し部屋が分かるスキル

禁忌の戒律タブー・ルール』・対象に制限を書き込むスキル

自動記録書オート・クロニクル』・自身の行動を設定するスキル

断章の頁フラグメント・キル』・対象の能力を破棄させるスキル


観測系スキル

『痕跡の残り辺』・逃走したエネミーを追跡出来るスキル

『神の視天』・空から見下ろす様な視線を得るスキル

害悪の視線エネミー・サーチ』・エネミーを察知するスキル。

不運を知る幸運ミス・フーチュン』・悪い事を察するスキル

『大いなる祝祭』・イベント発生率を高めるスキル

『意中を手の内に』・対象一人の同行を知るスキル


魔眼系スキル

『未来の魔眼』・視認出来る範疇で未来を視認出来るスキル

『盗視の魔眼』・対象の視覚を盗み見るスキル

『盗考の魔眼』・思考を盗むスキル

『擬態の魔眼』・対象を欺くスキル

『魅了の魔眼』・恋愛感情を増加させるスキル

『隠蔽の魔眼』・目を瞑ると姿が見えなくなるスキル

『挑発の魔眼』・対象を激怒状態にするスキル。


その他スキル

推力加速ロケットアクセル』・瞬間的に加速するスキル

自爆破壊ブロークン・ブラスト』・自爆のスキル

白煙気化スモーキング』・一時的に気化するスキル

狼の咆哮ウルフ・ハウリング』・声を衝撃波に変えるスキル


まずこの中から欲しいスキルを決めてみる。

この中だと『断章の頁フラグメント・キル』、『神の視天』、『害悪の視線エネミー・サーチ』、『不運を知る幸運ミス・フーチュン』、『隠蔽の魔眼』かな。


まず『断章の頁』は、対象の能力を破棄する事が出来る、と言う点だ。

例えば、ペンギンたちの所持するスキル、『自爆破壊』を破棄させる事が出来れば、爆破せずに相手に特攻させる事が出来る。

これについての利点は、一度の爆破で倒れなかった場合、または回避された場合、ペンギンを呼ぶのに時間が掛かる。

しかし、このスキルでペンギンたちのスキル破棄が出来れば、命令を聞く駒が出来上がり、更に『推力加速』で相手に特攻させて、攻撃をさせたり、回避されても追撃が可能になる。威力が低くなる分、ペンギンをデコイにしてターゲットをペンギンたちに集中させる事も可能。

それに敵と戦闘した場合、この『断章の頁』で相手の能力を実質的に封じる事も出来る。


他にもこの『神の視天』は他のスキルと併用する事で輝くと思っている。

それは新しく開放された『隠蔽の魔眼』だ、このスキルは目を瞑っていると姿を消すと言う内容になっている為に、相手が自分を見つけられない分、自分も何処に居るのかが分からない事が難点だ。

だが、『神の視天』は空から見下ろす様な視線を得るスキル。

これと併用すれば、第三視点から自分とその他の動きを理解する事が出来る。

実質的な透明能力を手に入れる事になるのだ。


後はこの『不運を知る幸運』と『害悪の視線』は単体で欲しいスキルだと言えるだろう。

一応、『不運を知る幸運』はもしかすれば『大いなる祝福』と一緒にする事でシナジーを発揮する可能性があるかもしれない。


『大いなる祝福』と言うスキル、これはイベントの発生率を高めると言うらしいが、このイベントとは一体何を指しているのかが気になる。


『大いなる祝福』と書かれているが、そのイベントが俺たちにとって良い事になるのかは分からない。スキル名では『祝福』なんて単語が使われてはいるが、実際の所、俺たちに対する不利益になる可能性も存在するのだ。

そう考えた場合、そのイベントを回避する為に『不運を知る幸運』を併用する事で、自分たちにとって悪い出来事を回避する事も出来るかもしれない。


「プロフェッサー、何を考えているんですか?」


アルトリクスが俺の傍に近寄って来た。

そうだ、彼女にもどれが良いのか聞いてみるとしよう。

結局な所、それを使役するのは彼女の役目だ、彼女が使いやすい能力を選ばせた方が良いのかも知れない。


早速俺は、彼女が習得可能となるスキルを教えた上で、それを組み合わせる事で効果を発揮させるシナジーを教える。

それを聞いた上で、アルトリクスはどれにするか考える素振りをする。


「スキルの取得枠は二つだからな、折角だからシナジーを習得出来るスキルが良いと思うんだが」


「そうですね……でしたら、『断章の頁フラグメント・キル』が欲しいですね……後は『禁忌の戒律タブー・ルール』でしょうか」


「そうか、その二つか」


『禁忌の戒律』は正直、イマイチだと思っている。

スキルの内容を確認する以上、対象に制限を『書き込む』スキルと書かれているからだ。

これが対象に制限を『設定する』なら、まだ考える余地はあった。

『禁忌の戒律』のスキルの内容を見ると、対象に対して制限を書き込む、つまりは、文字か何かを綴らなければならない、そう考えているのだ。

敵と戦闘を起こした場合、そんな悠長な真似はしていられないだろう。

曲りなりにも事典系スキルなのだから、書物に関する行動を必要としているのだろう。


「……ちなみに、『禁忌の戒律』を選んだ理由は?」


「それは、単純に強いから、ですか?」


成程、普通に強いスキルだから選んだ、と言うワケか。


「んー……そうか、なら。『断章の頁』だけを覚える方向で行こう」


「……『禁忌の戒律』は駄目ですか?」


欲しかったものを貰えなくて落ち込む子犬の様な表情を浮かべるアルトリクス。


「ああ、悪いな、またスキルアップした時に、最後決めたいからさ」


俺が考え直したのは、欲を出してしまったからかもしれない。

レベルアップすれば、また新たなスキルが所持出来る様になる。

そうなったら、現在の考えているシナジーよりももっと素晴らしいのが出来上がるかも知れないと、そう思ったからだ。


結局、アルトリクスにはスキルを一つだけ覚えさせるだけで終わった。

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