第15話 スキルとレベル大解放

スモークファングを倒した事で、レベルが三つ程上がっていた。

これでステータスに振り分けられる経験値は3ポイントになる。

早速俺は一番ステータスの高い能力値に2ポイント入れて、残りの1ポイントは一番低いステータスの耐久値に突っ込む。


「よし……これで」


俺が改めてステータスを確認しようとした時、アルトリクスが俺を呼んだ。


「プロフェッサー、またスモークファングが来ます。それも、十数体も」


「なんだと?」


さっきのスモークファングは軍勢から離れた内の一匹だったのだろうか。

俺はそう考えながらアルトリクスに命令を送る。


「数は十一体。まばらに突っ込んでいるな……」


一体程度なら遠方から近づいて来ても分かりづらかったが、ああも大勢でやって来るのなら、微かな動きで遠方にエネミーが居る事が良く分かる。

それが大勢のエネミーが出現しても、まだ距離があると言う安堵を生んだ。


「ペンギンを呼べ、そして一斉に攻撃をするんだ。あの数なら、最大三回までペンギンを呼ぶ事が出来るぞ」


遠距離から一回、中距離から一回、接近する前にもう一回、攻撃が可能だと判断。

このままスモークファングの群れを迎撃する準備に移る。


呼び出されたペンギンが顔を出して、アルトリクスの命令によって地面を蹴り『推力加速』スキルを発動して飛行し速度を早くさせる。

そして、スモークファングの方に接近すると、十体のペンギンがスモークファングを爆破する。


「よし次だ。ペンギンを呼ぶんだ」


アルトリクスが再び『爆弾の皇帝人鳥』を呼び寄せる。

爆炎の中から顔を出してくるスモークファングに向けてペンギンを発射。

十数体居たスモークファングの内、その半分がペンギンによる爆破によって四散。

なんと、近距離に到達するまでにスモークファングは一匹だけになっていた。


「容赦するなよ、ペンギンで攻撃」


その最後の一匹に対しても、俺は容赦なく攻撃する様にアルトリクスに告げる。

アルトリクスはペンギンを呼び寄せて、そのペンギンたちをスモークファングに特攻させると、爆破によって最後のスモークファングを倒した。


「よし」


かなり経験値を稼げたんじゃないんだろうか?

俺はペンギンマスクの裏で微笑みながら、ステータス画面を確認しようとして。


「プロフェッサー」


再び、アルトリクスが声を掛ける。

俺は彼女の方を振り向いて、彼女が目を向ける視線の先へと目を向けて、歯軋りをした。


「うぐぐ、またスモークファングの群れかッ!」


二回目は流石にしつこいぞ。

まあいい、迎撃の準備を始めて、アルトリクスがペンギンをスモークファングの方に向けた。

……結論から言えば、その後、もう一回スモークファングの群れと戦闘する事になった。

幸いにも、俺が取った問答無用に爆撃攻撃が通用したようで、こちら側には大した被害は来なかった。


雲がある場所は、恐らくスモークファングの群れが集中するのだろう。

そして、残念な事に、スモークファングは素材を落とさないエネミーであるらしい。

攻撃をして絶命をさせると、肉体を気化させて霧散するらしく、素材を落とさなかった。

これによって、金策は失敗した。

あとは帰り道で、どうにか他のエネミーと出会い、素材を回収しなければならない。


「まあ……」


金策は失敗したが、代わりにレベル上げは順調であった。

スモークファングの群れとの戦闘によって、アルトリクスはいきなり大台のレベル34にまで上昇していたのだ。

ステータスポイントを割り振る前はレベル15であったが、今回の戦闘で約19も上がっている。程好いレベル上げだ。

まず、19もレベルが上がった事で、ステータスにポイントを割り振る。

能力に7ポイントを追加させる事で、能力値を変動させ、スキル所持枠を増やす。

残りが12ポイント、4ポイントを消耗して精神値を変動。

残る8ポイントだが、残りのステータスに2ずつ割り振る。


【基本性能】

筋力値パワー:E/08 敏捷値スピード:D/13 耐久値タフネス:E/07

能力値スキル:B/40 精神値マインド:C/20 幸福値ラック:E/07


能力値がC+からBへと変動し、精神値がDからCへと上昇している。

良い感じに成長しているのが分かる。さて、お次はスキルの問題だ。

レベルが一気に19も上がってしまった為に、書術師として覚えるスキルが沢山解放されていた。



レベル20台で覚えるスキルは、事典系スキルが3つ、観測系スキルが2つ、魔眼系スキルが3つ。

そしてレベル30台で覚えるスキルが、事典系スキルが2つ、観測系スキルが2つ、魔眼系スキルが2つ。


合計で、事典系スキルが5つ、観測系スキルが4つ、魔眼系スキルが5つとなっている。


事典系スキル

魔術書の作り方ブック・メーカー

・特定の素材から魔術書を作るスキル

『図書館の隠し部屋』

・図書館へ入室した際、隠し部屋が分かるスキル

禁忌の戒律タブー・ルール

・対象に制限を書き込むスキル

自動記録書オート・クロニクル

・自身の行動を設定するスキル

断章の頁フラグメント・キル

・対象の能力を破棄させるスキル


観測系スキル

害悪の視線エネミー・サーチ

・エネミーを察知するスキル。

不運を知る幸運ミス・フーチュン

・悪い事を察するスキル

『大いなる祝祭』

・イベント発生率を高めるスキル

『意中を手の内に』

・対象一人の同行を知るスキル


魔眼系スキル

『盗考の魔眼』

・思考を盗むスキル

『擬態の魔眼』

・対象を欺くスキル

『魅了の魔眼』

・恋愛感情を増加させるスキル

『隠蔽の魔眼』

・目を瞑ると姿が見えなくなるスキル

『挑発の魔眼』

・対象を激怒状態にするスキル。


こんなにスキルが解放されているが……正直言って困るな。

これをこうして、こう使えば、こんな事が起こると言う事を、逐一考えなければならない。

最初に一つのスキルを決めて、後にそのスキルに組み合わせる様に、シナジーを考える事は得意なんだがな。

一気に解放されたスキルを組み合わせて、後からこっちの方の組み合わせの方が良いと思ってしまう。


既に、レベルを上げる前にやり直したいと思ってしまう自分が居た。





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