第5話

……戦おう。


そう決意した俺は、自作の木剣を持って村を出た。


もしもの為に、《水結界》を自分と村に張っておく。


見えた!


ゴブリン、コボルト、オーク、オーガまで!?


仕方ないか。


まず魔法を撃ち込んで、数を減らそう。


多分オークとオーガは残るだろうから、《剣闘気》を纏わせた木剣でなんとか…。


俺は《風刃》を撃ち込む。

《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》!


がむしゃらに撃つ。


《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》《風刃》!


《風刃》で舞い上がった土埃が晴れると、死屍累々の光景が広がっていた。


これでゴブリンとコボルトは全滅、オークもかなり数が減った。


問題はオーガだ。


あの硬い表皮を抜けなければ、ダメージが通らない。


となると、《剣闘気》か…。


「《剣闘気》!!」


そう叫んだ瞬間、木剣が眩く光った。


「うおおおおお!!」


俺は敵を、斬って斬って斬りまくった。


首を斬り落とす。


真っ二つに斬る。


残ったのは、オーガ数体のみ。


勝てる!


そう思った瞬間一体のオーガが、他のオーガを喰いだした。


何をしているのかわからなかったが、次の瞬間、


可視化できる程の魔力がそのオーガから溢れ出していた。


あぁ、ダメかもしれないな。これは。


そのオーガが俺にむけて、無造作に腕を振るったとおもったらいつの間にかふっ飛ばされ、猛烈な痛みが俺の身体を走った。


痛い。


何処まで飛ばされた?


周りのじょうきょうを


目の前にはオーガがいた。


「け、《剣とゴブファ!」


顔面を殴られて、また吹っ飛んだ。


ここは、湖?


あれ?魔力が回復している?


そうか!


あのオーガから漏れ出た魔力を取り込んだんだ。


そう分析していると、あのオーガが現れた。


魔力はある。


今ならいけるはず。


「《操水》!」


そう唱えると湖に魔力が行き渡り、それが姿を現した。


水竜だ。


正確には、水で創り出した竜だ。


「いけ!水竜!」


水竜が、鉤爪を振ると、オーガはガードした。


その結果、オーガの腕は、粉々になった。


そのまま押し切れるとおもったが、オーガが「グブルアアアアァァァァァア!!!」と叫んだ。


…水竜が霧散してしまった。


くそ、切り札だったのに。


オーガが殴りかかってきた。


水竜によって腕を粉々にされてもまだ互角!


悔しい!


そんな事を考えている最中にも戦いは続いている。


少しミスをしたら、殺されてしまう。


あ…。


やってしまった。


手を滑らせた。


剣が…。


目の前にオーガの拳が…。


ごめん母さん、父さん。


だめみたいだ。


『スキル《リミット・ゼロ》を取得しました。』


…!


すかさず俺は懇願するように叫んだ。


「《リミット・ゼロォ。》!」


その言葉に呼応するかのように、猛烈な勢いで魔力が俺の中にはいってきた。


目の前のオーガがたじろいでいるのがわかる。


俺はまたあの魔法を唱えた。


「《操水》」


そこに現れたのは竜ではなく、龍だった。


その龍は、口に水のブレスを溜めている。


流石のオーガも、これには逃げ出した。


だがそれを許してくれる龍ではない。


溜めたブレスを、一点に集中させ、それを放った。


チュイン、という音がしたあとオーガの腹を貫き、オーガは爆散した。


しかし、そのブレスの進行方向には、山があったはずだが。


ん?山が抉れて…。


やり過ぎだよ!


助かったけどさ。


「あれ、安心したら眠く、なってき…た。」


そして俺は気絶した。

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