2.4

中に入ると、人がいっぱいいて、その視線が全て私に向いていてすごく、嫌な感じがした。

慣れている視線のはずなのに、内緒話されることも慣れているはずなのに…


何故かすごく怖くて、紫苑くんの服の裾を思わずきゅ、と掴む。


でも、振り返った紫苑くんに思わず手を離してしまった。

嫌だったかな、嫌だったよね…謝らなきゃ、と思っていたら、


「大丈夫だよ、いおりちゃん怖くないよ」


と私の手を掴んで優しく握りしめてくれた。


「僕の隣においで」

と言いながら手を引っ張って紫苑くんの隣に連れて来てくれた。


「ここなら安全。誰も僕に強く出れないから大丈夫だよ。ゆうちゃんもいるしね」


ニコッと笑って私の頭を撫でてくれる紫苑くん。


そっか、守ってくれるんだ…

いつもは私が盾になってたのに…

この人たちといると、自分が誰なのか忘れそうになる。


そして、ジロジロと見られながら歩き進めて1つの扉の前に止まった。


優希くんがその扉を開けると、


「おせぇよ。…っておい、なんでそいつも連れてきた?」


「ん?小学生?…まさか、誘拐してきたのか?!お前ら、正気か?!」


陸って人の他に1人いた。


しかも

「ちょ、ぽり、ポリ呼ばなきゃ…さすがに誘拐はまずい…」

…と、ボツボツ言いながら警察に電話しようとしてる。












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