第20話 マッチョ売りの少女
今日は大晦日で、皆足早に通り過ぎていきます。
「マッチョ マッチョはいりませんか〜?」
まだほっそりとしている少女が、懸命にマッチョたちを売り込みしていました。
その少女の周りには沢山のマッチョ達がいました。
マッチョたちを派遣しないと生活が出来ないのです。
しかし、いつまで経ってもマッチョたちにお声はかかりません。皆年越しの準備を終えており、需要が一気に無くなっていたのです。
このまま家に帰ったら私達のご飯はない……
マッチョたちの筋肉維持費でいつもお金が無いのでした。優しかったジムのトレーナーは、少女に筋肉がつく前に亡くなっていたのです。
寒い……
少女はマッチョを一人ポージングさせました。
「サイドチェスト!!!」
するとたちまちマッチョから湯気が上がり暖気に包まれました。
あたたかい……
湯気の向こうにトレーニングジムが見えます。
しかし、湯気はすぐに消えてしまいました。
「筋トレしたいなぁ」
寒い……
少女はマッチョを一人ポージングさせました。
「サイドトライセップス!」
するとたちまちマッチョから湯気が上がり暖気に包まれました。
あたたかい……
湯気の向こうにプロテインが見えます。
しかし、湯気はすぐに消えてしまいました。
「お腹減ったなぁ」
少女はもう一人ポージングさせました。
「アブドミナルアンドサイ!」
するとまたマッチョから湯気が上がり暖気に包まれました。
あたたかい……
湯気の向こうにトレーナーが見えます。
消えないで……私も指導して……
少女は残りのマッチョ全員にポージングさせました。
「モストマスキュラー!」
トレーナーが健在だった頃を思い出します。
「私もそっちでトレーニングしたい」
湯気が消えると燃え尽きたマッチョと少女が横たわっていました。
少女はきっと天の上でトレーナーやマッチョに囲まれ幸せに筋トレしている事でしょう。
解説
ご存知マッチ売りの少女です。
はい。また筋肉です。
マッチ……まできたらマッチョしかなかったんです。
元のストーリー的にも燃え尽きる必要もあり、不本意ながら天に召される流れとなりました。
私にもう少し構成力があれば、回避できたかなぁ。
マッチョにはポージングと笑顔が似合うのですよ。
筋肉の時だけ作品のクオリティーが若干上がってる気がしないでもない。
○○○話 おしゃんしゃい @urawaza
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