第44話後篇 『まい・らいふ!』

(やるべきことは実に単純、力を至近距離で最大威力でぶつけるのみだ。媒介物は血液でいいだろう…)

「用意はできとるぞ…これで最後や」

「…どちらにせよお前はリタイアか、世話になったな。最後も頼む!」

「言わずもがなや」

「…」

ジュプラァァァァ!

宮藤が残りの血液を全て、全力で放つ。

米沢はそれに最大威力のベクトルをかけて合理に放つ。

(これは僕の想定にあった戦法…!力をかける技はおそらく、その方向にしか力は働かないと見た。)

「うおぉぉぉぉぉっ!!!!」

ドゴォン!

合理の足元に創造された爆弾が爆発する。

爆発によって吹き飛ばされながらも、

既に合理は光線銃を生成していた。

(僕の創造しうる最強の武器…!喰らえっ!) 

米沢と宮藤は二人とも、本能的に危機を察していた。

しかし米沢はベクトル操作で宮藤と共にこれを回避する。

光線は、米沢達を追いかけてきた。

同時に血液が爆発して、合理の方向に曲がる。

(指向性爆破!?追尾性能はお互い様ってことか…!)

足を治した合理は血液から逃げる。

米沢は光線から逃げつつ、合理を追いかける。

(直接僕を叩く気か?けど…)

合理もまた、米沢の方向に向かう。

途中で米沢は、宮藤を振り落とした。

「米沢はん!?」

「宮藤!俺のために死ね!」

合理は米沢の前に大量の鉄の壁を生成する。

バリリリリリリリィィン!

米沢はいとも容易くこれを貫いていく。

それら全てを破壊すると、合理がいた。

手には、もう一発の光線銃がある。

「くらぇぇぇ!」

光線が、放たれた。

米沢も2方向に最大威力の力を放ち、相殺を図る。

グドォォォォン!








「…僕は?」

目が覚めると、白い部屋…ではなく、瓦礫まみれの廃都市だった。

(生きてるのか?僕は。危なかった…流石に即死なら助からなかったからね。全身血塗れになっちゃつてるし、上半身しか残ってないけど、とりあえず治療を…)

合理は身体を治そうと試みる。



体が、思うように再生しない。

血液が固まって、中々上手く治療できないのだ。

「…血液凝固!」

「ようわかっとるやんけ」

宮藤が佇んでいる。

横には、虫の息の米沢がいた。

「あんたの負けや…名前は知らんけど」

(死にたくない!防壁を…)

キィィィン!

創り出した壁は、鮮血に切り裂かれる。

グチャッ

─まもなく、合理の頭を潰した。

「俺のために死ね…か。全く、自分勝手なことばっか言いおってからに…」

米沢の元に近づく。

もう、喋る元気もないようだった。

(まぁでも確かに、ウチの血液を全部使えば治療は可能か。なんか癪に障るわ…)

宮藤は怨恨と、懐古と、ほんの少しの親愛を込めて呟いた。

「勝てよ」








「…お疲れ様でございます」

今度こそ白い部屋だ。

合理はひたすら、俯いて床に座りながら沈黙を守っている。

「私は有情ですので、普通にあの世に送りたいと思うのでございますが…」

「彼岸…あったんだ。」

ようやく口を開く。

「最後に何か…言いたいことはございますか?」

「僕には…無理だった」

残り2人

憤怒の魔王 平 魅々

憂鬱の魔王 米沢 乱流

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