11・15 足柄峠誓いの丘 その3

午前1時半にもなると、煌々と輝く月も西の空へ傾いてきました。あと1時間半程で月は地平へと沈み、その明るさによってかき消されていた無数の星々が現れるのです。

ところが東側から大量の雲が流れてきます。ところどころ星も見えているのですが、何とも落ち着かない状態です。スマホで調べてみると明け方まで続くようです。


「ダメだ、こりゃ」


いかりやさんのお馴染みのセリフを呟いてから僕は望遠鏡を撤収しました。


ただ、そのまま帰るにはもったいないので、しばらくは車の中で暖を取りながらボーッとしてました。


あ、トイレ行こーっと


ふと思い立ち、隈研吾建築都市設計事務所が設計したという有料トイレを使わせていただきました。料金箱が設置されていてそこに投入する仕組みです。一回百円でした。


トイレから出て、東屋のベンチに座ってぼけーっと景色を眺めていました。

これがまた何とも気持ちいいんですよね。


『せっかくだから何か音楽でも聞こっかな』


そう思った僕は車に戻り、ウォークマンとイヤホンを取ってきました。そして東屋から少し離れたところにあるテーブル付きのベンチに座り、目の前に広がる景色を眺めながら好きな音楽を聴いていました。

富士山は雲がかかってしまい見えませんでしたが、眼下に広がる夜景とまだらに空を覆う雲、そして雲越しにも存在感を発揮する月を見ながら過ごす、一人ぼっちの極上の時間。それはそれは贅沢なものでした。


基本的に天文ファンは月を避けて行動するので、あまりこういうシーンには出くわさないのです。

でも何も考えずに月のある景色を眺めるというのもなかなか風情があっていいものだなと思った次第です。


そこで撮った奇跡の1枚と、特にシンクロした楽曲は後ほど近況ノートにてご紹介させていただきますね。

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