第34話 また式かよコンチクショウ! かーっめんどくせぇ!
「そ、そのようなことが……」
あの後。
フレイアとヒルデから経緯を聞いた
「確認はシルフィアとゼルシオスに取るのが早いだろう」
「いえ、今さらその言葉を疑うつもりはありません。このエーレンフリート、王家の総力を結集して助力することを約束致します」
ほぉ、あの
「アンタ、すげぇ奴だったんだな」
「ただの長生きした
「長生きしただけで王様にあんな敬意は
とりあえず、見てて気は晴れたぜ。
だが、別に笠に着るもんじゃねぇ。フレイアはフレイア、俺は俺だ。
「で、おっさんよぉ。俺の式ってのは、どうなったんでぇ?」
「それか。ふふふ」
なんかすげぇ嫌な予感すんだけど!?
「……今回の戦果や『
「はぁあああああああああッ!?」
ここにきて爵位の格上げかよ!
領地なんて任されたら自由どころじゃないぞ!?
「いや、あの、俺領地とか管理できねぇからね!?」
「なんだ、主席卒業者のくせに爵位の慣習も知らんのか。武官に授ける爵位は、
本当は「こうしゃく」なのだが、それだと「公爵」と紛らわしいので言い換える
あ、ちなみに武官の反対の文官であっても、「伯爵」でねぇと領地は管理させない制度は知ってる。知ってるけどさぁ、慣習ってのはさすがにちょいと……。
「そういうわけだから、伯爵までは安心して
「式確定かよクソッタレ!」
「その通りだ。もちろん、式においてそのような言葉遣いをしたら不敬罪で部屋への謹慎を命じるので覚悟するように」
「罰甘くなってねぇか!?」
前回は“ドミニアの独房”だったはずだ。
「フレイア様とヒルデ様が助力を決めた理由であるお前を、そう邪険に扱えるものでもないからな」
「すげーのな、あいつら」
「偉大なる初代国王の側室でもあるからな、無下には出来んよ。しかし、実権を握ろうとしないのが不思議だ」
「普段は空高くにいるから、国さえちゃんとしてればどうでもいいだろ、政治なんて」
なぁんて言ってみると、フレイアがコクリとうなずいていた。
「ゼルシオスの言う通りだ。我らは穏やかに生きられればそれで十分。とはいえ、今やそうは言ってられない状況になってきたがな」
「はい。なので、ご主人様の力となるべく、降りてまいりました」
「お前はフレイアについてきたのと、ついでに遊びに来ただけだろうがコラ」
軽くヒルデの頭をはたく。
気心知れまくりのシルフィアにすらやらねぇが、ヒルデはMだしいいだろ。ほら、早速
と、
「おや、『ご主人様』と。もう召使いを抱えたのか」
「なんか懐かれちまったよ」
「大事にしてやれよ」
「まぁな」
懐いてきた相手を無下にするほど、俺は外道じゃねぇ。
「んで、またヴェルハイム行きかぁ?」
「ああ。とはいえ、式は5日後だ」
「5日後? 長いな」
「前に言っただろう。『ヴェルハイムで優秀な兵たちをドミニアに回す』……と。それにおいて、問題が出来てきてな」
「どのような問題でしょうか、お父様」
おっ、アドレーアが詰めてきた。
ここは引き下がっとくかな。
「すまん、アドレーア。ドミニアに回す兵だが、ほとんどを隣国“ハルヴェード帝国”への国境防衛に割かねばならなくなった。補充兵は1名のみとなるかもしれん」
「1名……。いないよりはましですが、それでも大きく数を減らしておりますのね?」
「ああ。別の戦力を抽出したいところだが、それも難儀でな……」
俺の知らねぇとこで、だいぶマズそうな何かが起こってんな。
だが、戦力か。
「そこは問題ねぇんじゃねぇか? 二人とも」
「「えっ?」」
「ほら、もういるだろうが。俺たちドミニアにゃあ、
フレイアとヒルデ。
人間の姿だから忘れてたのかもしんねぇが、彼女らはもともと
「あとは、艦隊をどうすっかだな。このまま5隻で動かせねぇか?」
「ダメだな。カラドリウス、アトラスにギガースは、あくまで本作戦限りの招集だ。5隻では動かせない」
「チッ……そうかよ」
予想はついてたが、それでも数が少なすぎるのは問題だぜ。
「でしたら、ヴァーチアは?」
と、シルフィアが意見を出してきた。
俺も同感だぜ。
「それは問題ない。王立駆逐艦隊は独立行動を許されているからな。あとは艦長であるアドライア次第だ」
「私は問題ありませんわ」
ほっ。相変わらず数は少ねぇが、それでもドミニア単独よりマシか。
「大丈夫そうだな。あとは、フレイアとヒルデをどうするかだが……」
「作戦上では、お前に従うとしよう」
「私もです、ご主人様」
「ならドミニア直属遊撃隊の隊員、ってとこだな。それも
隊長ってのは形だけだが、それでもちょっといい気分だぜ。
「アドレーア、戦力的にゃあどうだい?」
「問題ありませんわね。お父様、もしドミニアに回す戦力の交渉をされているのでしたら、後回しにしていただいて構いませんわ」
「分かった。済まないな」
とりあえず、戦力の問題はどうにかなったようだ。
そんじゃ、最後に一つ。
「なぁ、
「何だ?」
「俺とライラ、ちょっと早抜けしててもいいか?」
話がある、っつったからな。
「構わんぞ」
「そんじゃ。アドレーア、後は任せんぜ」
「かしこまりました。ここから先は、私以外は帰っていただいて構いませんわ」
問題なさそうなので、俺たちは一足先に出る。
アドライアの視線を感じたが、まぁいつものこったろ。そんな気にすることでもねぇ。
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