ファンタジーでありながら、SFの垢ぬけた魅力を併せ持つ作品です。
緻密に作り上げられた世界観と人物設定。にもかかわらず、軽いタッチで過不足なくそれらを伝える作者様の表現力に脱帽です。
特筆すべきは、小説の中に宝石のように散りばめられた伏線の数々。
読み進めながら違和感を持つ箇所がいくつか出てきます。そして、それが伏線だったと後から判明するのです。注意深く読み進めれば、作者様の伏線回収の見事さに舌を巻くことになるでしょう。
どちらかと言えばライトノベルの類かと思いますが、集中して読んでいくことで、この作品の面白さは2倍、3倍に膨れ上がります。
主人公やヒロイン、登場人物たちの思考や行動にリアリティーがあることも、この作品の大きな魅力のひとつです。
読み始めれば、きっと夢中になります。
是非、ご一読ください!
この作品の魅力を紹介するに当たり、色々考えたのですが、文章や世界観については他の方が書いておられるので、私はヒロインの及川乃蒼さんについて語りまくりたいと思いました。
ヤバいヒロインがお好きな方、多いですよね? 及川さんはシンプルかつ強烈にヤバいヒロインです。色々とヤバいんです。
まずは基礎スペック。凄まじい身体能力を持ち、祓魔師としての実力は一級品で、何より可愛い。この人自分が超可愛いの分かってるだろ!?というのが言行の端々から分かる気がします。でもそこが良いんです。
次に特殊能力。第01話の時点で分かるのですが、彼女は自分の才能をあまり重く捉えておらず、軽〜く使っちゃいます。しかし、それにしたってモノによるし、限度ってあるだろ!?と突っ込みたくなるはず。アカン過ぎる…
最後に精神性。彼女のそれはもはや人間というよりは天使に近い領域に至っています。一途とすら言える宿敵への執念から、彼女は戦うことをやめません。
彼女の本当の姿を、是非実際に読んで確かめてみてください!オススメです!!
まず先に言っておかなければいけませんが、この作品はライトノベルに該当されるお話になりますが、決して軽くはありません。
祓魔師の主人公によって展開される世界観は重厚であり、読めば読むほど濃くなっていきます。悪魔の正体、信憑性のない噂話、そしてこの作品最大の魅力であるミステリアスヒロイン、及川乃蒼という存在。それらの要素が巧みに合わさり、物語を魅力あるものにしていきます。
まだページ数が少なく判明していない「謎」は多いですが、その謎たちが読者のストレスになることはなく、先の展開を期待させるものになっていおります。
与えられた手がかりから、先の展開を予想してみるのもいいかもしれません。きっと、この作者は想像よりも上の物語を見せてくれるでしょう。
面白い。
まず、シンプルにその感想が浮かぶ。現在公開されている話数はけっして多くはない。だが、だからこそ話を読み終わったあとに襲われる飢餓感の大きさに愕然とする。
作者様は、残酷なことをする。
はやく私たちの飢餓感を癒やしてほしい。そう、出過ぎたことを思ってしまえるほどに、この話は人を引き込む力を持っている。
話は、悪魔使いたちと祓魔師の戦いを描いている。冒頭で、非常に感性の優れた詩的な言葉で紡がれる神話の中に、「神様は悪魔に恋をしていたのだと思います」という印象的な言葉が出てくる。
だが、本編で「悪魔」については「明確」には語られておらず、敵として出てくるのは悪魔「使い」だ。では、悪魔とはなんなのだろうか? ここでの明言は避けるが、オカルトとは対局ともいえる概念で小出しにされた悪魔の正体は、謎を深めるもので、さらにこちらの好奇心を煽りたててくる。
悪魔の設定一つとっても、単純ではない。
複雑で重厚な世界観と設定が、現状の話数からでも明確に察することができるだろう。
また、作者様がとくに優れているのは情景描写における空気感の出し方である。ローカロリーな文章だが、軽すぎることは決してない。無駄がないのだ。その無駄を省いた文章は、確実に読者の目を疲れさせることなく想像をかきたて、情景を色鮮やかに起こしてくれる。
それは、実力がなければできることではない。作者様の能力の高さが伺える。
個人的にはキャラクターも素晴らしいと思う。クソ真面目で融通のきかないツンデレな主人公黒沢と、謎の多いマイペースなヒロイン乃蒼。彼女たち二人はともに祓魔師で、その思想と行動原理に決定的な違いがありながらも、バディとして行動している。これからの二人の活躍と、関係性にも目が離せない。
謎の多さ、話の複雑さ、重厚な設定、すぐれた情景描写、イキイキとしたキャラクター設定。一読の価値ありだ。
私の拙い文章では、この作品の魅力をこの程度でしか伝えられない。慚愧の念にかられるが、どうかもっと沢山の方に読んでもらいたいと思う。
ただ、忠告するなら。
飢餓感が半端ないから気をつけて欲しい。