第3話 寒さに弱い似死さん

「寒っ」

あー寒い、めちゃ寒い…今日は朝からずっとこのことしか考えていない…今日は本当に今年一番と言ってもいいほど寒い。もうそろそろ冬到来だな…お鍋の美味しい季節になる。

「今日の夕飯鍋にしようかな…」

まだ今日が始まったばかりだというのにもう夕飯のことを考える…しょうがない寒いから現実逃避したいんだ…

「次の時間体育か…しかも外…」

今はちょうど1時間目が終わった休み時間。1時間目から国語という眠くないがちな教科をせっかく乗り切ったというのに…今度は寒さと戦わなければならないなんて…

「外出たくないなぁ…」

でもこうして現実逃避をしていると授業に間に合わなくなる…仕方がない、怒られることだけは避けなければ…

僕はジャージの入ったカバンを持ち席を立つ。その時チラッと視界の端に不思議なものが見えた。見えたのは右側、つまり隣の席の似死さんの方を向く。

「……似死さんだよね?」

そこにいたのはジャージの塊だった。正確に言えばジャージを着た似死さんが座っていた。これだけでは普通だが、なんせ今横に座っている似死さんには首から上が無かった。首がないといえど、決してグロいことではなく、単に似死さんがジャージから顔を出さずファスナーを最後まで締めて座っていた。本当にジャージの塊だ。

「おーい似死さん」

話しかけても返事がない。ついに冬眠し始めたのか?この人

「……似死さん次体育だけどいいの?」

「………」

返事はない

「しょうがないなぁ…似死さん!雪降ってるよ!」

「なんだって!?」

『雪が降っている』という魔法?の言葉に釣られたのか首の出るところからいきなり似死さんの頭が出てきた。

「え、雪どこ雪どこ。雪だるま〜!」

「ごめん雪降ってない、嘘。似死さん次体育なのに全然出てこないから__って何また冬眠してんの」

雪だるまを作るつもりなのか一気にテンションが高くなった似死さんに僕がそういうと似死さんは一気に冷めたのかまたジャージの塊に戻ってしまった。子供かよ…

「ねぇ似死さん…」

「うるさい佐々木!もうお前なんて知らん!嘘つきやがって…寒い寒い死ぬ、いやいっそう死のう…」

あーあ、拗ねた…マジでめんどい…

似死さんは寒さにすごい弱い

「こたつむりになりたい…」

「人間はこたつむりにはなれないよ」

「そんなのわかってる」

珍しく似死さんが静かだ…寒いって神だと思う…

「ほら早く冬眠から抜け出して!って何してるの!?」

「体育はやりたくない!」

「はぁ!?」

そういって似死さんはベランダから飛んだ

その後似死さんは大怪我をおい、病院に運ばれ体育を欠席することができたが、怪我の痛みと二週間戦うこととなった…

「自業自得じゃん…」


似死さんは死にたがり…いや、体育サボり魔です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

似死さんは死にたがり 志珠 @sizu_nokokinoko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ