28 爆会祭(2)
「いてて……飲みすぎましたね」
今日から祭りです。ですが村は二日酔いで亡者のようになってる人で溢れてます。仕方がありません、ここは魔法で治しちゃいましょう。
「……えい!」
よし、これでよくなりました。ちゃんと村中に魔法をかけたのでみんな元気になりましたよ。これで祭りを楽しめます。
よしよし、いいですね。あ、来賓のラムさんが来たみたいです。二人の男性をつれてますね。
ラムさんと同じく羊角の人は息子さんでしょうか?
あ、こっちに気づきましたね。お辞儀をします。ぺこり。
「こんにちは、ラムさん」
「マーガレットさん、この度はお招き頂きありがとうございます。こちらは私の息子のマトンです」
「マトンだ! 今回は矮小なる人間のためにわざわざ出向いてやっーーえ、父さん? なんでそんな怒ってるの……え、やめてやめて痛い?! うわぁぁぁぁぁぁ」
マトン君はラムさんに連れられてどっかへ行きました。角を鷲掴みにして引きずる様子はなかなか恐ろしいですね。
で、こちらに1人残ったこのムキムキの男性は誰でしょう。凄まじい魔力なんですけど。
「こんにちは、マーガレットです。ラムさんのお友達ですか?」
「……」
「え?」
なにか喋ってるみたいですが、あまりに小さくて聞き取れません。
何回も聞き返してるのですが、よく聞き取れませんね。
文字で書いてもらえばわかるのではと紙を取りに行こうとしたタイミングてアーさんとフェン、バレンタインがすっ飛んできました。
「マーガレット! その方は魔王だ!」
え、本気で言ってます? アーさん。
「ここに攻めに来たんですか?」
魔王さんはすごい勢いで首を振ってます。安心しました。攻めに来たわけではないのですね。
「マーガレット、魔王は人見知りって聞いたことあるぞ」
「そうなんですか?」
すごい頷いてます。ありがとうございますバレンタイン、教えてくれなかったら変な人として扱ってしまうところでした。
「あぁ、魔王様。お待たせしました」
ラムさんが戻ってきました。手にはボロボロのマトン君がいます。
「魔王様、また人見知りですか? もう、普段は堂々してるのに知らない人が多い場所に来るとすぐこれなんだから……ほら、挨拶してください」
「ま、魔王だ。よろしく頼む」
「マーガレットです。こちらこそよろしくお願いします。それで、魔王さんはなぜこちらに?」
そんな簡単にこっちの世界に来ていい存在ではないでしょう。多分世界中のどの国の歴史を見ても魔王の存在は書いてありますよ。
「視察、という名目ではありますが、遊びに来ただけです。なので私も魔王様も、立場を考えずに扱ってもらえればと。あぁ、息子はこき使ってください」
「みなさん、お客さんですからちゃんともてなしますよ。案内はアーさん、バレンタインにお願いしてありますから、わからないことがあれば2人に聞いてみてください」
「わかりました。ありがとうございます」
ラムさんが頭を下げるのに合わせて、魔王さんもぎこちなく頭を下げます。魔王ですからね、頭を下げることなんて中々ないでしょう。
マトン君は土下座してますね。別にそこまで頭を下げる必要は……ほら、バレンタインが面白がってますよ。あれはヤニムと同じように子供たちのおもちゃにされる未来が見えますね。
「それじゃあ、お祭りを楽しんでください」
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