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ちょっとまずいです。いや、かなり不味いかもしれないですね。
とりあえずみんなを守ります。
『む? 結界か? 人間が作った結界程度、俺には効かぬわ!』
そういって龍は暴れます。私が言うのもなんですが、出鱈目な魔力の使い方ですね。もともと王都に貼っていたものほどではありませんが、かなりの強度で作った結界がものの数度の攻撃で弱ってしまいました。
『俺の力を持ってしても尚、すぐに壊せない結界だと?!』
「割と全力で作りましたから。それよりも、落ち着いて話しませんか?」
『俺は人間と話などせん!』
「じゃあ、私とはどうだ?」
バレンタインですか。子供であるバレンタインを呼ぶのは少し不味い気もして後悔してましたが、龍が動きを止めてくれたので結果オーライでしょうか。
『魔槍姫か? なぜ、貴様がここにいる』
「私はここに住んでるんだ。あなたは三仙龍のフォーレイであってるか?」
人間と喋りたくないだけで、バレンタインとは普通に喋るのですね。
『うむ。俺は三仙龍が一匹、深緑のフォーレイ。して魔槍姫よ。ここは貴様の支配している場所なのか?』
「いや、そこにいるマーガレットの支配している場所だ。私じゃない」
そういってバレンタインは私を指さします。別に支配してるつもりはないですけど……。
『なっ、人間に支配されているというのか?! 貴様……魔界の名を汚す気か?』
「魔界を裏切る気は無い。私は、ただここで学ばないといけないことがある。そう思ってるからここに居るんだ」
『貴様……』
フォーレイの魔力が膨れ上がっていきます。ですが、時間稼ぎとしては完璧ですバレンタイン。
『ぬっ?!』
フォーレイはまだゲートを抜けきっていませんから、そのゲートに干渉してフォーレイを無理矢理返します。
『ぬぁぁぁぁ、許さんぞぉぉぉぉにんげぇぇぇぇぇぇ……』
「……ふう。ありがとうございますバレンタイン。あと、巻き込んでしまってごめんなさい」
「いい。みんなを守ることには私も協力したい」
「みんなで暮らすことを、ちゃんと学んでますね」
えらいです。バレンタインはしっかり成長しています。ですが子供を巻き込んでしまったのは私の間違いです。反省しなければいけませんね。
「マーガレット! 大丈夫か?!」
「アーさん。それに悪魔の皆も、迷惑をかけてごめんなさい」
「そんな、姉御が無事ならいいんですぜ!」
「「「そうですぜ!」」」
みんな、優しいですね。けど、後でちゃんと謝って回りましょう。心配をかけたという意味でも悪いことをしてしまいましたから。
「それで、あの龍はどうしたのだ主よ」
「魔界に返しました。契約魔術も同時につかって、暫くはゲートを作れないようにしたので戻ってくることは無いでしょう」
本当はいろいろと契約魔術に仕込んだのですけど、ほとんどが弾かれました。
「王都にでも送り返せば良かったのではないか?」
「さすがに、あのレベルの龍を送り込んだら相当な被害が出ます。今は王に心酔している騎士団や軍、貴族を苦しめるだけで済みますが、やりすぎると国民にも直接の被害がいってしまいます」
それは、少し心が痛むのでやりません。
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