11

「王国は度重なる魔界からの襲撃に大分困っているようだぞ」


 なるほど。全部私のやったことですけど。


「だが、騎士団と軍、そして勇者の活躍で国民に被害は出ていないようだ」

「勇者?」


 そんなのいましたっけ。


「我が王国で暴れた時にはいなかったからよくわからん。だが、魔界のもの達の話を聞く限り相当強いようだ」

「へー、そんなのもいるんですねぇ。ですが、そんな強い人がいるんなら嫌がらせも大して効かないのかもしれませんね」

「それは、マーガレットが王国と魔界を繋ぐゲートに契約を施しているからだろう?」


 たしかに、魔界と王国を繋ぐゲートを作る時はあまり強い存在が通れないようにしています。やりすぎると国民まで大きな被害が出ますから。国王を崇めてるような人がほとんどですが、中には私が聖女だということを信じてくれた人もいましたから。


「少し強めの奴も通れるようにしますか。情報ありがとうございますアーさん」

「それは構わない。だが我の方も少し相談があるのだが……」


 珍しいですね。アーさんから相談なんて。あ、ちなみにバレンタインはエルフの子供と遊んでます。一人だけエルフの中に子供がいたんですが、あっという間に仲良くなりましたね。


「それで、相談てなんです?」

「魔界の悪魔の中でも、我の配下と言える存在が100体ほどいるのだが、ここへ移住したいそうだ」

「随分たくさんですね。わかりました、エルフの皆さんに家造りをお願いしましょう」


 家の問題は解決できそうですが、食料は微妙ですね。少しずつ栽培を始めているようですが、100体を賄えるかどうか……。あ、まってください。悪魔ってことは受肉させる時に魔力を多めに渡せば暫くもつはずですね。


 そんなことを考えていたら、アーさんがなにやら困惑しています。


「どうしました?」

「いや、随分あっさり受け入れるのだなと」

「アーさんの頼みですから」


 日頃からお世話になっています。協力しないわけがありません。といっても、私ができることは少ないのですが……家を作るのもエルフ達ですし、資材を集めるのもアーさんです。

 私はいつも通りだらだらごろごろ、たまにフェンをもふもふします。


「感謝する。マーガレット」

「どういたしまして、アーさん」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る