第11話

「隣は、美少女が良かった」

「全く、同感だ」

 エアロバイクに乗った2人は、そう言って毒付いた。


 都合ヶ丘ルナタウンのモール街にある会員制スポーツジムは、各種優待制度が充実している事もあって様々な住民が利用している。

 空良は、ある理由からここ最近週3日のペースで通っていた。

 そして、何故か同じ時間にいつも居るのが・・・。


「早くプールに行け、気が散る」

 仏頂面の御角修(みかどおさむ)が、ペダルを漕ぐペースを上げながら言った。

「まだ2セット目なんだよ。そっちこそ部活引退したんだろ、何無駄に鍛えてるんだ??」

 元、屋敷川高校弓道部のエースに向かって、皮肉交じりの言葉を投げ掛ける。

 御角はインターハイ本大会前に右肩を負傷、そのまま弓を置いていたのだ。

「別に、ただの気晴らしだ」

 空良の皮肉をスルーして、御角は言った。

「それに決めてたんだよ、弓は高2の夏迄で、後は受験勉強に集中するって」

「おーおー、ガリ勉君にクラスチェンジですか」

「仕方ねーだろ、親父のプレッシャーもキツイしな。後継者としては最低限の勉学を

身に着けておかないと困るらしいからさ」

「跡継ぎ・・・自営業なのか??」

「ん、いや・・・」

 御角は、ある大手企業の名前を出した。

「ただでさえ同族経営は煙たがられる対象だからな」

「・・・オトコじゃ、玉の輿って訳にはいかないか、残念」

「気持ち悪い事を言うんじゃない!!」

「冗談だよ、二代目」

 鳥肌を立てて身を引いた御角に空良は言葉を被せる。

「とにかく俺は今、中心線を鍛えるトレーニングを鋭意実施中なんだから、邪魔するんじゃない」

「ふふん、そんな事言ってるが、目当てはインストラクターの香織さんだろ??」

 視界の端でホワイトボードに何かを描いている長髪黒髪の女性を指して、御角はほくそ笑んだ。

「は??それはお前だろ」

「ムキになる所が怪しい、確かに河上さん似の美人だしな」

「全然似てないっての、里香さんの方がいい女だ」

「そうだな」

 思わず目を合わせた2人は、フッと笑った。


「いつまでも引き摺ってるんじゃねーぞ」

 バイクを降りた御角は、そう言ってタオルを首に掛けて歩き出した。

「どっちがだよ」

 「隣は、美少女が良かった」

「全く、同感だ」

エアロバイクに乗った2人は、そう言って毒付いた。


都合ヶ丘ルナタウンのモール街にある会員制スポーツジムは、各種優待制度が充実している事もあって様々な住民が利用している。

空良は、ある理由からここ最近週3日のペースで通っていた。

そして、何故か同じ時間にいつも居るのが・・・。


「早くプールに行け、気が散る」

仏頂面の御角修が、ペダルを漕ぐペースを上げながら言った。

「まだ2セット目なんだよ。そっちこそ部活引退したんだろ、何無駄に鍛えてるんだ??」

元、屋敷川高校弓道部のエースに向かって、皮肉交じりの言葉を投げ掛ける。

御角はインターハイ本大会前に右肩を負傷、そのまま弓を置いていたのだ。

「別に、ただの気晴らしだ」

空良の皮肉をスルーして、御角は言った。

「それに決めてたんだよ、弓は高2の夏迄で、後は受験勉強に集中するって」

「おーおー、ガリ勉君にクラスチェンジですか」

「仕方ねーだろ、親父のプレッシャーもキツイしな。後継者としては最低限の勉学を

身に着けておかないと困るらしいからさ」

「跡継ぎ・・・自営業なのか??」

「ん、いや・・・」

御角は、ある大手企業の名前を出した。

「ただでさえ同族経営は煙たがられる対象だからな」

「・・・オトコじゃ、玉の輿って訳にはいかないか、残念」

「気持ち悪い事を言うんじゃない!!」

「冗談だよ、二代目」

鳥肌を立てて身を引いた御角に空良は言葉を被せる。

「とにかく俺は今、中心線を鍛えるトレーニングを鋭意実施中なんだから、邪魔するんじゃない」

「ふふん、そんな事言ってるが、目当てはインストラクターの香織さんだろ??」

視界の端でホワイトボードに何かを描いている長髪黒髪の女性を指して、御角はほくそ笑んだ。

「は??それはお前だろ」

「ムキになる所が怪しい、確かに河上さん似の美人だしな」

「全然似てないっての、里香さんの方がいい女だ」

「そうだな」

思わず目を合わせた2人は、フッと笑った。


「いつまでも引き摺ってるんじゃねーぞ」

バイクを降りた御角は、そう言ってタオルを首に掛けて歩き出した。

「どっちがだよ、バーカ」

 彼の気持ちを汲み取った空良は、そう言って混ぜっ返した。

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