第17話 一方そのころの魔剣使い
反魔法組織に占拠された学園、その中をキリヤは一人走っていた。
「おい、そこのお前止まれ!【ファイア・ボール】」
そんなキリヤを見つけ、魔法を打つ男が一人。
だがキリヤは足を止めることなくそのまま鞘から『斬魔』を抜く。
「邪魔だ。『斬魔』!」
「ぐお!?」
そして魔法ごと男を切り捨て、再び足を進める。
「よし、次だ!」
そんなことを何度も続け、ついに切った人数が二桁を超えたころ、
(!?…いま地面が揺れたような?)
キリヤは知る由もないが、この学園の人々の魔法が封じられたことを感じ、さらにはキリヤの周りを霧を包み込む。
(なんだこれ?霧、…でもただの霧じゃないな『斬魔』が反応してる。だとすると敵の攻撃か?)
キリヤが霧の正体を考えているとピェロロロという鳴き声と共に『
「
キリヤは不死鳥を手に留める。
その瞬間、
「おい!こっちにまだ起きてるやつがいるぞ!」
「なに!?魔法は封じたはずだろ!」
複数の男がキリヤを取り囲む。
(魔法を封じた?…そうか、不死鳥はそれを伝えるために)
「まあいい。これだけの人数だ、学生一人くらいさっさと倒すぞ」
男たちはキリヤに向かって魔法を放とうとする。
だが、それよりもキリヤが不死鳥を剣の姿に変えるほうが早かった。
「悪いがこっちも暇じゃない、全員いっきに潰させてもらう。燃やし尽くせ『
キリヤが『不死鳥』を振り、巨大な炎の鳥が男たちを襲う。
「「ぐ、あぁぁぁっ!!!!」」
複数人の男たちは一瞬にして全滅する。
そして一人その場に立つキリヤは不死鳥を剣から鳥の姿に戻す。
「不死鳥、フレイナ達を助けにいってくれ」
不死鳥はピェロロと鳴くとともに、教室の方に飛んでいく。
「よし、これであいつらは大丈夫だろ。問題は一向に敵の頭が見つからないことだが、……そろそろあれを使うか」
キリヤは『斬魔』を鞘に納めると、鞘を触りながら必要な力を思う。
「こい、『
キリヤは鞘から新たなる魔剣を抜く。
魔剣『魔探』
その力は魔法、魔力の力や位置を探査することが出来る。
本来、魔法使いが魔力を感知するのは自身の魔力を起点として魔力を周囲にぶつけることで感知をしている。
だがキリヤは魔力を持たないので感知をすることが出来ない。
そんなキリヤを助けるのがこの魔剣『魔探』だ。
「頼むぞ、『魔探』」
キリヤは『魔探』を地面に突き刺す。
すると同時に『魔探』が地面に魔法陣を描きキリヤに学校全体の魔力の位置や大きさを伝えていく。
(なるほど。……いくつかある小さい反応は気絶してる奴らだからパス。あとは動いてないが魔力が荒れてる奴が大量にいるな。これは生徒か?そういえばさっき眠らせたとか魔法を封じたとか言ってたな。ならこれもパス。次は、教室のほうからでかい魔力を感じる。これはフレイナだな。ならこれもパス と、するとあとは……)
キリヤは『魔探』を床から引き抜く。
「訓練場。ここから特殊な魔力の流れとでかい魔力を感じる」
キリヤは訓練場へ向けて走り出した。
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