第18話 魔剣VS魔剣

 キリヤは訓練場に着くまでにあった数人の敵を切り倒し、今訓練場へと足を踏みいれた。


「さて、どんな奴が出てくるか……」


 キリヤが訓練場の開けた場所に出る。

 その瞬間、


「っ!?早速か……」


 キリヤに向かって複数の種類の魔法が飛んでくる。

 そんな魔法を見ながらキリヤは斬魔を構える。


「……『斬魔』」


 キリヤは飛んでくる魔法を一つの残らず切り裂く。


「ふぅー。いきなり魔法のお出迎えとは、ずいぶんなご挨拶だな」


 キリヤは斬魔を鞘にしまい、魔法の飛んできた先を睨む。


 そこに居るのは数人のフードをかぶり顔を隠す男たち。

 そんな中で一人、キリヤと正面に立つ男がコートごとフードを脱ぐ。


「そいつは悪かったな。魔法が使えないこの状況でまさか魔法を切る奴がいるとは思わなかったぞ!」


 男は、はははと笑う。


 そんな男を見てキリヤは内心引きながらも、剣に手をあて、剣をいつでも抜けるようにする。


 だが男はそんなキリヤを見ても笑いを止めることなく軽い口調で話す。


「ははは、まあそんな殺気立つな!戦う前に互いに名乗るくらいいいだろ?」


「殺気立つなって……お前らから攻撃してきただろ」


 キリヤは態勢を崩さず冷静に応答をする。

 そんなキリヤの返しにも男の笑いはやまない。


「それもそうだな!だが、」


 男は言葉を区切り、笑いを止める。


「あの程度で倒れればその程度だということだ」


「っ!?」


 一瞬、その言葉一瞬にキリヤは男から強い殺気を感じた。


 だが男は瞬時に笑みを戻す。


「それでは、まず俺から名乗らせてもらおう!俺はジャネ。一応この学園を襲ってる奴らのリーダーをやってる」


 次はお前だ、っとジャネはキリヤを指さす。


「俺はキリヤ。見ての通り剣士だ」


 キリヤは斬魔を抜き、剣先をジャネに向ける。

 そんなジャネはこれまで以上に大きく笑いだす。


「く、ははは!そうか。まさかこの時代に剣士を名乗る奴が他にも残っているとは思わなかったぞ!!」


 ジャネは腹を抱えて笑う。

 そして、


「ではキリヤ!これよりは俺とお前の一騎打ちだ。お前らは手を出すなよ?」


 ジャネは他の仲間に威圧し言葉を伝えると、不意に手を上にあげる。


 そんな姿を不審に思いながらキリヤはさっきほどのジャネの言葉を頭に反響させる。


(あの手を上げる格好、何かの魔法か?…いや、それよりもさっきのあいつの言葉、「剣士を名乗る奴が他にも残っている」だったか。それってまさか…!)


 キリヤは一つの結論に行き着きジャネに向かって走り出す。

 そんなキリヤを見て男たちは魔法を放とうとするが、


「やめろ!手をだすな」


 ジャネによって止められる。


 そして、


「はああぁぁっ!!」


 斬魔の刃がジャネに届く、


「!?」


 ことは無く、ガキンッと斬魔は何かに止められる。

 その何かの正体は、


「やっぱりか…」


 キリヤの目の先に映るのは光を反射する金属の刃。


「はははっ、いい剣だな!だが俺の獲物も負けていないだろ?」


 ジャネが手に持つのは一振りの剣だった。








 ____________________


 キリヤは斬魔を防がれるとすぐに後ろに飛び距離をとる。


「剣。それも魔剣か……」


 ジャネはキリヤの言葉を聞き楽しそうに笑う。


「いい目をしてるな!察しの通りこいつは魔剣、その名は『蛇腹じゃばら』能力は、これだ!」


 ジャネはキリヤとの距離があるにも関わらず剣を振る。

 すると剣の刀身が割れ、長い鞭のような形状になる。


 そんな形状になった蛇腹がキリヤを襲う。


「くっ!?重っ……」


 キリヤは斬魔で蛇腹を受け止める。


「ほう。なかなか鍛えているな。ならこれはどうだ?『蛇腹』!」


 ジャネは蛇腹の刀身をガシャン、ガシャンと戻し再びキリヤに向けて蛇腹を振る。


 キリヤはその攻撃を再び受け止めようとする。

 だがその攻撃は先ほどのとは違った。


「曲がった!?」


 蛇腹の刀身は曲がり不規則な動きでキリヤに襲い掛かる。


「っと、危な」


 だがキリヤはギリギリ斬魔で攻撃を止めた。


「ふむ。一人でここまで辿り着く強さ。瞬時にこちらの力を見抜く目。そしてとっさのことに対する対応力。……決めたぞ!この勝負、俺が勝ったらお前は俺たちのところにこい!」


「…………は?」


 キリヤはいきなりのジャネの言葉に思わず声が漏れる。


「その変わり、お前が勝てばこの『蛇腹』をお前にくれてやる」


「!?」


 そのジャネの言葉は、キリヤを一瞬無防備にした。


 それもそのはず、魔法の使えないキリヤにとって魔剣は唯一使える力。

 その力を手に入れる機会があるというのなら当然……。


「いいだろう。乗ってやる」


「ははは!そうか、では決まりだ!契約の魔法は……必要ないな?」


「ああ、魔剣はより強い者についていく。例外はあるがお前を認めるような魔剣だ、問題は無い」


 キリヤとジャネは互いに確認を終え、剣を構えなおす。


「では、改めて。決闘開始だ!」





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