第14話 クラス襲撃

 キリヤたちが教室内で敵を待ち構えていると、ドアが破壊される。


「「きゃぁぁああ!!!?!!?」」


 そんな突然のことに、ほとんどの生徒は驚き、悲鳴を上げて扉から離れて一か所に集まる。


「いきなりドア破壊か」


「ずいぶんな挨拶ですね」


 そしてほとんどの生徒でないキリヤとディル、そしてフレイナはいつでも攻撃に移れるように構えている。

 そして破壊された扉から、人影が現れる。


「あーあ。魔法学園なのにずいぶんと魔法に対する耐性が無いな?」


 人影は一人の男。

 その姿はローブに、フードを深くかぶっており顔は見えない。


「ま、そのおかげで楽に侵入できたからいいか。さて、生徒諸君、大人しくしていてもらおうか」


 男は歩いてキリヤたちに近づいてくる。


 そして一歩、二歩、そして三歩と近づいた瞬間、


「しっ!」


「っ!【ファイアウォール】」


 キリヤは地面を踏み込み男に迫る。

 が、さすが反魔法主義組織。すぐさま炎の壁を作り出す。


 だがそんなものはキリヤには通じない。


「邪魔だ。『斬魔ざんま』」


 キリヤは炎の壁を切り裂き、そのままの勢いで男も切り伏せる。


「ぐっ、い、いきなりなんなんだ……」


 バタンっと男は倒れる。


 キリヤは男が完全に気を失っていることを確認し『斬魔ノ魔剣』を鞘に納める。


「さすがですね兄貴!一瞬にして敵を倒してしまうとは!」


「そうね。けど、相手の目的を聞き出してからでも良かったんじゃないの?」


 フレイナの言葉にキリヤは男を見下ろしながら、


「あんなに無警戒に俺の間合いに入られたんだ、あれで切らなきゃ剣士の名折れだ」


 と言う。だがその顔は言われてみれば、といった顔をしている。


「名折れって。まぁ、あのまま教室内で魔法を放たれるよりは良かったかもしれないわね」


 フレイナはあきれながらも、後ろでおびえていたクラスメイトを見て無事を確認する。


「さて、問題はここからだな。俺としてはさっさと敵の頭を叩きたいところだが?」


 キリヤはフレイナとディルに意見を求める。


「……なら、ここは私とディルくんに任せて、キリヤくんは敵の頭を探すのはどうかしら?」


 フレイナの案にキリヤは頷き、


「よし、それでいこう」


 フレイナの案を採用することにする。

 だがもちろんもう一人は納得しなく、


「えっ…。ちょっと待ってください!俺は兄貴と一緒じゃないんですか!?」


 ディルは一緒に連れて行ってくださいとキリヤに迫る。


「まぁ、待てディル。フレイナ、何か考えがあるんだろ?」


 キリヤはディルを落ち着かせながらフレイナに話を振る。


「ええ、もちろんよ。まず、このクラス。ほとんどの子がいきなりの襲撃でとてもじゃないけど戦える状態じゃないわ。だから実力を持つ私やディルくんが必要なの。あとは、」


 フレイナは言葉を区切りキリヤを見る。


「キリヤくんなら一人でもどうにかできると思ってるの」


 その言葉には絶対的な信頼がこもっていた。


「もちろんキリヤくんには負担がかかっちゃうけど―」


「問題ない。このクラスにまだ襲撃が来る可能性もあるからな。二人がクラスに居れば気にせずに戦える。だから頼むぞディル」


 ディルはその言葉にしぶしぶといった様子だが納得をする。


「それじゃあ、さっさと頭、潰してくる」


「ええ。任せたわ」


「兄貴、ご武運を」


 キリヤは二人の言葉を背中に廊下を駆け抜けた。












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