孔雀と梟

 孔雀くじゃくが他の鳥達に自慢して回った。

「見るが良い、私のこの美しい羽根を。この羽根は私のこれまでの努力の賜物たまものなのだ。このような美しい羽根を持つ私こそが鳥族の王に相応ふさわしかろう」

 鼻持ちならぬ孔雀に他の鳥達はヒソヒソと話し合った。

「確かに美しい羽根だが、自分だけの力で獲得したのではあるまい。親やそのまた親の積み重ねがあってこそだろうに」

 孔雀はその噂を耳にし、嘲るように呟いた。

「動物の一生は全て自己責任なのに何故それを認めないのか? そうやっていつまでも親や環境のせいにして、これからもずっと醜いままで居るがいい!」

 これを近くで聞いていたふくろうたしなめた。

「お前はお前だけでこの世に産まれて来たのか? お前の一生はお前だけのものか? 自分の一生が全て自分だけのものだなんてうそぶくような者に私達の王は任せられないよ」


 自己責任論を吹聴して回る他責論者へ。

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