結婚してはいけない男

 年頃の乙女が男と付き合い半年が過ぎた。

 そろそろ結婚の話もちらほら出てきていたが、その頃になると乙女は結婚に迷っていた。

 上手く言葉には出来ないけどしっくり来ない、決して悪い人ではないのだけれど。

 そういった心のもやを乙女が抱き続けたある日、男が到頭求婚した。

 しかし乙女は前述の通り男にしっくり来てなかったので以下のように断った。

「貴方は良い人なのだけれど、どうしても貴方との結婚は考えられないわ。ごめんなさい」

 それを聞いた男はみるみると顔を真赤にして眉間に皺を寄せて怒鳴りだした。

「はぁ!? お前ふざけるなよ! 今まで俺がどれだけ金と時間を貢いでやったと思っているんだ!? だったら、俺が今まで奢ってやった飯代も、贈ったプレゼント代も、今まで泊まった宿代も、今まで付き合ってきた半年という時間も、耳を揃えて全部返せよ!!」

 態度を激変させた男に怯えながらも、乙女は喉から言葉を振り絞り男に向かってはっきりと述べた。

「今まで何で貴方にしっくり来ないか解らなかったけど、今やっと解ったわ。そういう所よ」


 このように、要求が通らなかった時にこそ、その者の本性は出てくるのだ。

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