第一章 VS ヒグマ バトル! 04

 「こんなところで終わられたら、お前さんも本望じゃないよなあ。」

不意に、鉛玉が冷静さを取り戻した。つい先程まで、鬼灯のような眼でにゅんよを睨みつけていたというのに。


 今は、薄い笑みを張り付かせていた。


 「お前が待っていたように、俺も待っていたんだよ。全力を全身全霊を、全ての野生を解放できるような相手に出会えることをな!」

鉛玉が吼える。二度、三度。吼えるたびに力がたぎり、力が満ちるほどに自身の心に落ち着きが生じてくる。


 「待たせたな。死合い、再開だ。」

嬉しそうにヒグマが牙をのぞかせる。


 そしてにゅんよもまた、嬉しそうに答える。

「それがあなたの全力ってわけね。確かに野生が跳ね上がってる…。それでこそ、わたしにふさわしい敵よ!」


 二人の間に、友情とも呼べる奇妙な感情が生まれ始めていた。


ただひたすらに、撃つ、撃つ、撃つ。手技を、足技を、投げ技を、そして関接技を。


本能と野生に突き動かされるまま、いつ果てるともない闘いの応酬。


そして、遂に決着の時を向かえる。

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