第一章 VS ヒグマ バトル! 03
「舐めるなよ、この俺様を!」
鉛玉が手近にある岩を持ち上げた。でかい。直径は数メートル。重さはいかほどになるだろうか。
ブンッ。岩を投げつける。持ち上げるだけでも驚異であるというのに、かのヒグマは飛び道具として使ってきた。
「そんな大味な攻撃が当たるとでも?」
静かに呟やく。にゅんよは投げられた岩が落下する前に、その下をくぐり抜ける。そして炸裂する瞬間、岩の後方を蹴り跳躍。一気に間合いを詰めた。
だが、そうすることは鉛玉も読んでいた。目前に移動してきたにゅんよを見て、ニヤリと顔を歪ませる。
「思った通りだ!前に詰めて来やがったな!」
鉛玉は歯を食いしばり、にゅんよを真正面に見据える。鉛玉の目と、にゅんよの目。視線がぶつかる。
「!!」にゅんよは鉛玉の意図を正確に読み取った。突進をしての頭突きだ。その巨体を、質量を全て乗せて眼前のにゅんよに迫る。
「いかにも獣らしいこと!」にゅんよはしかし、嬉しそうに笑い声をあげる。
二匹が交差する一瞬。にゅんよはわずか数寸、体軸をずらし突進をかわす。そしてそのまま、左足を前に踏み込む。「がら空きよ!」
どごぉん!にゅんよの右前蹴りが鉛玉に直撃した。空手の前蹴り。この「壊す」ための蹴りはサッカー選手の蹴りとは似て非なるもの。蹴り当てる部位は親指の付け根、中足。にゅんよの力、そして鉛玉の突進力。今、二つの力がかけ合わされた。莫大なエネルギーが鉛玉の顔面に激突する。両眼の間、すなわち眉間に衝撃が弾ける。相当のダメージであることは間違いない。
「グオォアァ!」
堪らずに鉛玉は悲鳴をあげる。2歩、3歩。のけぞりながら後ずさる。苦痛に顔を歪ませ、血走った目でにゅんよを睨みつけた。
「まだまだよ。わたしをがっかりさせないことね。」
にゅんよが挑発を繰り返す。
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